『パフューム ある人殺しの物語』(Perfume : The story of a murderer) / アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン

監督 :
トム・ティクヴァ
特に目立つ人たち :
ベン・ウィショー
ダスティン・ホフマン
レイチェル・ハード=ウッド
アラン・リックマン
おれが観たあらすじ :
愛に飢え、自分の存在意義を求めるために、自身の才能と無垢な心に呑みこまれてしまった青年の物語。

 一回目は、あまりの眠さに途中で寝てしまい、二度目はDVD ファイルの関係で最後まで観れず、三回目でやっと全部観れた映画。

『パフューム ある人殺しの物語』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. のべ第1回目観賞 :
    もしかすると、自分にとって、“ 本当に大切な人 ” を思い知らせてくれる映画なのかもしれない。

 なんだ、残念。
 まぁ~た予告編だよ……
 いやぁ~、ホント、映画の製作側さんたち!! 最近 “ 予告編 ” の演出に力入れすぎ!!
 また騙されたぜ。

18世紀。
パリは活気と悪臭に満ちていた……
そこへ人類に2人といない才能が誕生したことなど、人々は知る由もなかった……

 そして冒頭!!
 『毛皮のエロス』もそうだけど、なんか含みのある言い方やめろや。マジで。
 紛らわしいったらありゃしない。

そして、その世にも珍しくあまり必要とされない才能ゆえに、人類の記憶からも忘れ去られようとしている殺人鬼ジャン=バティスト・グルヌイユ……

 そう、主演の目的のためには手段選ばずな殺人鬼 “ ジャン=バティスト・グルヌイユ ” って実在なんてしてないんだって。
 アホかよ。
 一応の予備知識として、水不足からあまりお風呂に入らない西洋人の体臭を強烈な香りで紛らわそうっていう目的で、香水自体、ヨーロッパで発達、発展したっていうのがあったわけ。
 だから、本当にそういう人がいてもおかしくはないかなと。
 “ 人々の記憶からも忘れ去られようとしている ” なんて言われたらよ?
 本当にいたんだって思わないか?

 完全に嘘だろ。大げさだろ。
 まま、たしかに映画を観る限り、あの才能は有史以来、二人といないもんだろうなとは思ふ。っつーか、いたら有名なはず。

 ン~…… スパ ──────── ……

その香りに世界がひれ伏す

 あのシーンは本当に印象的。あの光景が観たくて観たといっても過言じゃない。
 まま、それまでに、まわりの反応をチラ見しながらチョビチョビ試し塗りしてるのは内緒だ。
 あのスパ ──────── っていうだけじゃないっていうところいクスクスしちゃうのもまた良い。

 って、神だぜ、ありゃ。千里眼とか透視とか霊視とかの超能力 FBI 捜査官も真っ青だぜ。
 だれが何時間も前に出発した人たちの匂いだけで、野を越え山をも越えた先の馬に乗った人たちがどっちの道に行ったか判別できるっつんだよ。
 犬だって地面に鼻ばこすりつけるっての。

 でまあ、映画であれども、本当にこの人が実在して、あんな事件が起こっていようもんなら、最終的には、有史以来最大の乱交だったことでしょう。絶対歴史に残ってるはず。
 いろんなことで自由発祥の地パリとはいえ、汚点として隠そうとしたところで、あんなん絶対歴史に刻まれてるはずだ。
 ただの乱交。あれこそ最悪かつ最高のテロだよ。
 恐るべし。

君は天使だ……あなたは無実よ……

 きみたち、一体どうしちゃったんだい?


 とはいっても、優れてる。かぁ~なり優れてると思う。
 “ 香水 ” っていう魅惑で神秘なものなだけに、映像も素晴らしく美しい。悪臭漂う魚市場でさえ、そう見える。構成なのか構図なのか、計算なのか色彩なのか、なんとなくなにかがすべてにおいてバランスがいいのかな。
 なんだ?
 陰影のコントラストか?
 それもふまえた上で、主人公も極めて美しいと思う。カッコイイってわけじゃない。でも、きれい。女性キャストより上。

 純粋? 無垢?
 なんだかねぇ~……
 とってもピュアな感じがする。物語と、その軸となる主人公の感情が。

 たしかにそれは、殺人。
 けれども、それは愛ゆえ。
 飢えと過剰。
 そこが人間の本能とあいまって、なんかうまいこと歪んで均衡を保とうとしてたのかなと。
 なんだかすっげぇ哲学的に観ると難しいところだけど、感情だけで見れば、いたってシンポー。
 愛し愛されたいからだ。
 主人公は愛されたかった。被害者たちは愛したかった。
 遺族はもっとそうだ。そして、どっちもだ。

 それでいて、やっぱなんだかんだで幼少時代の反動からくる支配欲だったのかな。
 愛するのも愛されるのも “ 支配 ” っていう欲とは切り離せない感情。
 だから世界がひれ伏したそのあとは、破滅へと自分から飛び込んだわけだ。

 まま、この映画には原作があるらしく、おれは読んでないけども、ひどく哲学的な物語なのかなと思うな。
 メッセージ性が極めて強い。
 なんか詩的な印象もある。
 そして、もんのすごくイマジネーションをかきたてられる。

 映像ではあり得ない “ 匂い ” がその中心にある。
 でも、わかる。わかるような気がしてくるんだな、これが。
 たしかに嗅覚の伝播は、主人公の鼻がプシューッてなって天狗の持つ葉っぱみたいになるぐらいなんだけど、それを彩る描写がすげぇ。
 否応なく想像させられてしまう。

 名前もわかんねぇ山吹色したフルーツの皮をむいてる女の人のうなじ。
 たわわに実った枇杷のような胸を窮屈に隠す女の髪の毛。
 白すぎるほどの肌が青ざめてゆく女の丘陵。
 凝固するほどの脂を全身に塗りたくられた女のベトつく陰毛。
 タンクに生きたまま沈められた女が滴らせる透明な黄色い雫。

 視床下部を刺激する描写があまりに多い。脳髄すらにおいたちそうな勢いだ。
 人間が記憶するのに、もっとも重要なのは、声や言葉や映像じゃねぇ。ましてや想い出とか写真なんて論外だ。
 そう、におい。
 嗅覚がもっとも人間の記憶を刺激する。
 においを記憶する能力でいえば、たぶん犬より人間のほうが上じゃないか?
 しかも、極めて複雑なんだと思う。人のにおいって、絶対忘れない。というより、簡単に思いだせる。それに付随した記憶を引っ張りだすのも無意識に処理される。
 においの感覚が合えば、その人とは、本能的に合う。その人のにおいが好きなら、その人のことも好きになれる。その人のにおいが嫌いなら、その人のことは生理的に受けつけないっていうレベルで嫌うだろう。

 だからなに……

 そう、“ におい ” っていうものを映像で伝えるっていう面でも、この映画は極めてグレイト。
 嗅げてるような気分にすらなれる。
 想像させたにおいが、その人の理想のにおいであり、そのにおいに観る者もひれ伏してしまうわけだな。
 なんと恐ろしい……そして、美しい。

 嗚呼、もしかしたらおれの天職も香水調合師なのかもしれまいに……


 登場人物はいいよ。
 主人公のジャン=バティスト・グルヌイユ役の人も、そこまでじゃ~ない。あくまで “ ダビデ像 ” を見てるような感覚だ。
 監督も知らねぇし、女優さんも特に際立って美人だとか存在感びんびんな人もいない。
 ダスティン・ホフマンが出てるけど、特にダスティン・ホフマンていう感じはなし。
 だから登場人物はいい。
 パリジェンヌもパリジェントルも、すっぽんぽんになっちまえば、みんな一緒だな。

 って、あっそうだ!!
 リシってお父さん役のアラン・リックマン!!
 いやぁ~、この人の声はホント特徴あるよなぁ~……好きだな。
 そうそう、『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ先生の人だったんだよ。
 映画中、なぁ~んか聞いたことある声だなぁ~と思ってたら、声出た。
 ──── おっ、スネイプ先生!!
 いいね、いいね、この人。

 ってことで。


 この映画を観たら、想像しよう。思い描こう。

 自然と思い浮かんできた人を大事にしよう。

 本当に大切な人を思い知らせてくれる映画なのかもしれない。

キャスト詳細情報

タイトル :
『 Perfume: The Story of a Murderer 』
原作 :
パトリック・ジュースキント (Patrick Süskind) / 『香水 ある人殺しの物語』(文藝春秋刊)
英題 : "Das Parfum"
監督 :
トム・ティクヴァ (Tom Tykwer)
製作 :
ベルント・アイヒンガー (Bernd Eichinger)
製作総指揮 :
フリオ・フェルナンデス (Julio Fernández)
アンディ・グロッシュ (Andreas Grosch)
サミュエル・ハディダ (Samuel Hadida)
マヌエル・マーレ (Manuel Cuotemoc Malle)
マーティン・モスコウィック (Martin Moszkowicz)
アンドレアス・シュミット (Andreas Schmid)
脚本 :
トム・ティクヴァ (Tom Tykwer)
アンドリュー・バーキン (Andrew Birkin)
ベルント・アイヒンガー (Bernd Eichinger)
撮影 :
フランク・グリーベ (Frank Griebe)
衣装デザイン :
ピエール=イヴ・ゲロー (Pierre-Yves Gayraud)
編集 :
アレクサンダー・バーナー (Alexander Berner)
音楽 :
トム・ティクヴァ (Tom Tykwer)
ジョニー・クリメック (Johnny Klimek)
ラインホルト・ハイル (Reinhold Heil)
出演 :
ベン・ウィショー (Ben Whishaw) / ジャン=バティスト・グルヌイユ (Jean-Baptiste Grenouille)
ダスティン・ホフマン (Dustin Hoffman) / ジュゼッペ・バルディーニ (Giuseppe Baldini)
アラン・リックマン (Alan Rickman) / リシ (Richis)
レイチェル・ハード=ウッド (Rachel Hurd-Wood) / ローラ (Laura)
アンドレス・エレーラ (Andrés Herrera)
サイモン・チャンドラー (Simon Chandler)
デヴィッド・コールダー (David Calder)
カロリーネ・ヘルフルト (Karoline Herfurth)

コメント着信アリ0

ここのフォームに書き込んだ内容がコメントとして書き込まれます

トラックバック着信アリ0

ここにトラックバックを送信するための URL
http://www.matsudatakuya.org/tm/mt-tb.cgi/1230
Listed below are links to weblogs that reference
『パフューム ある人殺しの物語』(Perfume : The story of a murderer) / アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン from おれと映画:感想データベース

Home > 120分超え > | おれ、オスゝメ > | イカレ or 気違い > 『パフューム ある人殺しの物語』(Perfume : The story of a murderer) / アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン

検索どうぞ
カテゴリーリスト

巻戻し