『ドッグ・バイト・ドッグ』(狗咬狗) / エディソン・チャン、サム・リー

監督 :
ソイ・チェン
特に目立つ人たち :
エディソン・チャン
サム・リー
おれが観たあらすじ :
カンボジアの孤児で殺人ギャンブルの駒だったエディソン・チャンと刑事サム・リーによる執拗な命のやりとり。

 ひっさびさの香港映画ってことで、超期待。
 エディソン・チャンとサム・リーのダブルな出演。

『ドッグ・バイト・ドッグ』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. おれはやっぱ “ 1.5 ” ぐらいのが好きだ。

 嫌いじゃない。
 ただ、好きでもない。

 いやぁ~、しっかし!!
 ホント中国映画ってのは “ 皆殺し ” 好きだなぁ~、オイ!!

 なんで?
 なんでそうまでして殺したがるのだ? 人の命をなんだと思ってるんだい?
 そんなに鬱憤たまってんのか?

 とりあえず、“ 死 ” っていうものを美化しすぎてやしませんかい?
 死ねばそこで犠牲になった “ 命 ” まで浄化されるとか思いこんでやいませんか?

 人の命を湯水のように使うのはほどほどにしましょうよ。


 まま、初めにも書いたように、こういう類いの映画は嫌いじゃないよ。特に中国のは。
 終始、陰鬱な空気がうようよウジ虫のように、背景から登場人物から、画面全体を蝕むように漂ってるから。
 それはエンディングだろうが山場だろうが、どここ行こうがどうなろうが、消えない。ずぅ~っと、そのまんまのテンポと雰囲気を保ったまんま始まって終わる。

 アメリカとかそのほかの諸外国 ──── ドイツとかイタリア ──── あたりのは、なんとなくテーマが昔っからのものに固定的で飽きた。いや、観てる途中でも飽きがくる。
 アメリカだと、“ 戦争 ” が主。とりあえず多いのは、やっぱヴェトナムとかあのへんだよな。あとは、テロかな。“ 9.11 ” のあとはホントあればっかしだ。
 ドイツなら、“ ナチス ”。
 イタリアなら、“ マフィア ”。
 スペインなら、“ 復讐 ”。

 その点、中国はというと、まあ、中国もだいたいが “ 中国マフィア ” なわけだけど、なんというかなぁ~……まるでアニメばりの “ なんでもあり ” 的な雰囲気があるのです。
 殺しは一切なかったり、意外にもマフィアどうしの熱い友情だったり、だれかの死が与える影響を描いてたり、はたまた全部ごちゃ混ぜでなにがなんだかさっぱりだったり……
 この『ドッグ・バイト・ドッグ』みたいにマフィアでもなんでもなかったり。マフィアばかりがノワールじゃないけどもさ。
 それでいて、物語が進んでいけば、これといって特に設定上の無理は感じなかったり。

 しかしながら中国映画では、なにかと “ 徹底 ” されるところが素敵なのよ。
 たぶんそこだな。
 ほかの国の映画だと、どっかで必ず “ ヌキ ” の要素が入ってくる。だいたいが “ 笑い ” だな。
 大事な要素だけども、そのへんも一切排除する中国のど根性にやられる。
 なので、ちょ~っとばかり暗すぎるっていう意味も含めてみる。個人的には。

 だから、中国映画とかなんかそのへんの映画では “ ノワール ” っていう言葉がよく使われてるらしい。
 “ なんとかノワール ” とかそういうのが多い。
 といっても、個人的には “ 香港ノワール ” しか観てないんじゃないかと思うけど、そのへんはさて置く。

 で、その香港ノワールの超代表作といえば、やっぱ『インファナル・アフェア』でしょうなぁ~……
 パート3まで出て、三部作で完結したっぽいし、テレビにまでなってさ。
 しかも、キャストも毎回のように超豪華だし、おれの好きな人ばっか。
 やっぱ、“ だから観た ” っていうアンディ・ラウでしょ?
 で、なにかと名高いトニー・レオンに、ジャッキー映画でもお馴染みのエリック・ツァン。エディソン・チャン。ケリー・チャン ──── まあ、ケリー・チャンは、この映画で知って “ でらべっぴん ” と感動しただけ。
 あれ以上に上をいく映画なんて、今後出てこないと個人的には思ってる。
 あ、いや……別に、暗に “ おもしろさ ” を言ってるわけじゃなくて、あくまで知名度とかキャストって意味でよ?
 ぶっちゃけ『インファナル・アフェア』がおもしろかったかって言われたら、おれの答えは、“ ノー ” となるので。


 また別の映画の話で盛り上がってしまったってわけで、そんな感じなのよ、この映画も。
 というより、おもしろさで感想書こうとしても、『インファナル・アフェア』は超えない。まず超えない。もしそんな人がいたのなら、“ あんたはどんだけ深い洞察力とイマジネーションを持ってるんだい? ” とうかがい知りたい。
 おれにはただ一つしか伝わってこなかった。


 ──── 命


 そう、香港ノワールって、そこがいいの。
 またまた最初に書いたとおり、“ 皆殺し ” だの “ 陰鬱 ” だのが渦巻くわけだけど、なにより大切にしてるよっていうメッセージは、そこ ──── 命。
 必ずそれを守って守って、守りに守って、守りとおして死んでいく人たちの物語なのだな。

 なにを守ろう? 命。
 なにを支えよう? 命。
 なにを考えよう? 命。
 なにを買おう? 命。
 なにを想おう? 命。

 マフィアの抗争といえど、血で血を洗う争いといえど、みんながみんな、命に真剣。そこに “ 笑い ” なんていらねぇのよ。
 “ 命には、命で感じあおうよ ” っていう、チャゲアスばりのメッセージが強烈なんだな。

 で、やっぱ香港の映画っつーのは、最初から最後まで話がわかりやすいね。
 アメリカとかどこぞの監督さんたちみたいに、こざかしい哲学作品じゃないのがいい。
 善悪の区別がはっきりしてるし、よくも悪くも先の展開の予想ができるし、話としては、きっかけ、経緯、結論も、皆殺しにされたから皆殺しにするとかさ。
 そして最終的には、それらすべてを根底から覆すようなラストにもってくわけだ。
 そこがすごい!!
 まま、そっからなにを感じ取るかっていうのは人それぞれにあるだろうし、作品によって違うんだろうけど、おれには “ 命 ” っていう源流しか見えない。
 で、あのラストって、“ 友情 ” だよね。

 え~っと、なんの話だったっけか?

 そう、この『ドッグ・バイト・ドッグ』では、そのメッセージがすこぶる強烈にびんびんきた。そのためか、あえてグロいところまでっていう映像も多々あり。だから “ R-15 ” なのかな。
 どいつもこいつもが、本気で、死ぬ気でだれかの、あるいは自分の “ 命 ” に執着してる。
 なにがすごかったかって、そのためなら手段選ばずなところだな。
 どいつもこいつも正気たもってられてるやつなんて、一人もいねぇ。だれもが極限状態のなかにいる。
 まるで機械みたいな人間たちの織り成す人間味あふれる命の話。
 ぶちギレてるやつばっか。
 たまらんとですぅ~……

 とりあえず、エディソン・チャンが、おれの観るもっともな “ 極限状態 ” にあったかなと。
 まさに “ 0 ” か “ 1 ” かの人間。余計なものは一切なし。
 育ってきた環境とかの背景もあってか、あの無表情な感じ、シビレたな ──── “ なんとも思わない ” って、いいよ。そういうの大好きさ。

 でもまあ、あの見た目が邪魔してか、どうしても可愛らしい。イッチャってる感じがひと皮残して残ってた。そこが残念。
 ちょ~っとエディソン・チャンだと、この役どころには無理あったんじゃ? 人気で選んだな、さては?
 サム・リーと役が逆でもよかったかもしんねぇな。

 サム・リー、完全にイッてます。目がイッチャってます。
 いいっすねぇ~、こういう役。サム・リー、ハマッてますねぇ~。イカしてますねぇ~。
 そういえば、この映画で初めてかな。サム・リーに惚れたか、おれ。

 でもこいつは、あくまでも “ 善 ”。全然、善。
 エディソン・チャンが、“ 悪 ” だな。なにがどう転んでも “ 純粋 ” っていう風情に映るだけのこと。こいつは、悪い。
 まま、どちらも “ 命 ” への執着と、大切に感じてるものは同じっていう意味では、“ 必要悪 ” ってところかなと。

 あとはまあ、ブルドックみてぇなオッサンと、そのまわりをうろちょろしてる人ばかりで、たいして記憶に残ってないので、この映画では割愛。


 とまあ、そんなわけで、この映画は、好きじゃない。

 そうね、いわゆる一つの “ 男が好きな映画 ” だな。
 女の人が観て、キャスト以外のところで感動したり、「おもしろか」ったって言うような映画じゃないと思う。
 言外のメッセージを読み取ったり、哲学的にあーだこーだと理屈をくっつけながら考えたりとか、だれかに示したい知識があって、あわよくば自慢したがるような男が好きになる映画かなと……おれのリサーチでは、それは、普段の会話でも小難しい言葉とかムダに使いたがる男かな。
 単純に “ ヴァイオレンス ” にたぎる男とか。
 あとは、ケンカの強いチンピラ好きの女とか。

 ただまあ今回、この『ドッグ・バイト・ドッグ』だと、ただのマフィアから社会性もちょっと取り入れてきたね。
 “ カンボジアの子供たち ” って問題。
 実際そうなのかはわからんけども、なんか説得力あったな。

 裸の漢たちが繰り広げる肉弾戦は熱くて好きだけども、どうがんばっても、観てて気持ちのいい映画ではねぇわな。
 やっぱし香港ノワールってのは、イメージ的に、絵の具がマーブルになってく “ うにょうにょ ” って感じだね。
 人間の美しい部分がぐにゃぐにゃとマーブルしちゃってるね。角がない。
 アーティスティック。

 でもおれは好きじゃないな。やっぱ。

キャスト詳細情報

原題 :
『狗咬狗』
『 Gau ngao gau 』
『 Dog Bite Dog 』
監督 :
ソイ・チェン (Soi Cheang)
製作 :
松下順一 (Junichi Matsushita)
プロデューサー :
サム・レオン (Sam Leong)
米山紳 (Shin Yoneyama)
脚本 :
セット・カムイェン (Szeto Kam Yuen)
メルヴィン・リー (Melvin Li)
マット・チョウ (Matt Chow)
撮影 :
フォン・ユンマン (Fung Yuen Man)
音楽 :
ベン・チャン (Ben Cheung)
チュン・チーウィン (Chung Chi Wing)
出演 :
エディソン・チャン (Edison Chen) / パン (Pang)
サム・リー (Sam Lee) / ワイ (Insp. Ti Wai)
ペイ・ペイ (Pei Pei) / ユウ (Yu)
ラム・シュー (Lam Suet) / リン (Insp. 'Fat' Lam)
チョン・シウファイ (Cheung Siu Fai) / サム警部 (Chief Insp. Sum)

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