『Shopgirl/恋の商品価値』(SHOPGIRL) / クレア・デインズ、スティーヴ・マーティン、ジェイソン・シュワルツマン

監督 :
アナンド・タッカー
特に目立つ人たち :
スティーヴ・マーティン
クレア・デインズ
ジェイソン・シュワルツマン
おれが観たあらすじ :
気持ちかお金かに揺れる女と、大人になれない男たちがつむぎだすリアルなおとぎ話。

 予告編で観ると決めた。
 ご飯を食べたあと、じっくりちゃんと観た。
 けっこうエッチぃ描写も期待できそうだったので ──── クレア・デインズが主演です。

 まま、コメディ俳優さんが書いた小説が原作だってことなので、そういう人がそういうテーマを書くとどういう内容と展開になるのか、すっげぇ楽しみだったの。

『Shopgirl/恋の商品価値』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. たまには砂利道に入って遠まわりしてみるのもいいね。

 ん~……なんだかんだで、月並みだったね。
 さらに言うと、“ やっぱりね ” っていう程度の話。
 もっともっと言うと、“ だよね ” って身につまされる物語。

 人間だからね、やっぱり。
 っつーか、人間だよね、やっぱり。

 なんかアメリカじゃ大ベストセラーになったらしいじゃん。
 スティーヴ・マーティンの処女作っていう小説なんだそうだ。で、脚本を手がけて、映画化された作品とのこと。

 でもなぁ~……
 最近流行ってんじゃん、この手のストーリーって。
 人間というか、“ 真実の愛 ” だの “ ソウル・メイト ” ってより、恋愛関係における永遠のテーマっつーか、人間の欲だもの。

 心か。それとも ──── お金か。

 ってな。
 なんか定番なんだよなぁ~。

 でよ?
 そのジャンルってもう、素人参加の企画まで出てるっしょ?
 モロなのが『ジョー・ミリオネア』ったっけか?
 あんなの出されたら映画なんざもう……
 ちょっと違えど『誘惑のアイランド』な。
 それこそ “ 本能 ” で、あれはマジでヤッバい……


 って、話が例によって例のごとくはずれたけども、だからなにが言いたいかっていうと、そのスティーヴ・マーティンさんが小説を出した時期よ。
 ただ世間の波にのっかっただけなのかなと。

 いや、おもしろいよ? 普通に。うん、FUTSU に。
 だって、リアリティーあふれる設定だし、実際ありそうなおとぎ話だし。

 まま、ちょっと概略を書けば、庶民的なシンデレラ・ストーリーとも言えるんじゃないかな。
 経済的にわりかし逼迫したただのショップガールが、ある日愉快な男と出会って恋をして、それからまたある日に、ちょっと小金持ちな中年のおっさんに口説かれて、そのまま関係を持ってしまうという話。
 で、ラスト・イヴを経てのエンディングには……

 っていうお話。

 この映画では、主人公は “ 女 ” だけど、そこが男だって同じだと思うのよ。そう、男なんて浮気する生き物って言われる女も、同類っていうのが世の中の常。
 チープな生活してる自分に、なぜだか洗練された女社長が寄り添ってきて、突然のプレゼントから豪奢なマンション、さらには抱えてたローンを全額払ってくれたりとかしてもらって、それでいてだれに見せても恥ずかしくはない容姿だったりまでしてな。
 で、それまでの恋人はといえば、ただの “ 誠実さ ” だけが売りみたいなフリーターときてる。まま、それは映画のなかでの相手役ではあるけどもさ。
 そりゃ女社長のほういくっしょや。いっちゃうしょや。
 夢みたいな話だけど、夢みたいな話だからおとぎ話なんだよ。

 まあねまあね、それが現実の世界だと、“ 不倫 ” とか “ 結婚 ” とかの壁っつーか、問題っつーか、わだかまりっつーか、しこりとかがあるんだろうけどさ。
 そうよ、そうなのよ……女だからこそ、その問題がより大きく響いてくるんだろうなと。
 スティーヴ・マーティン、登場人物の設定にミス・チョイスはなしっすね。さすがはハリウッドの大物俳優として数々の映画に出演されてるだけある。

 しかしだ。

 この映画がそのへんのありふれた映画と違う点、それは、主人公の悩みが、本当にリアルで、その悩み方が本当に “ 揺れてる ” っていう描写の凄み。
 現実の悩みとしての一流さだな。現実味ありあり。切望ってやつか。
 でも、本当に切望なのか、執着なのか。ただの未練なのかを問いかけてくる感じが、またリアル。

 まま、女の人ってことで “ 結婚 ” っていうのがそのテーマになってるっぽいけども、やっぱりそうなんだなと思ってしまうぐらい醜さまでさらけ出してる。
 最近じゃ “ お一人様 ” だのなんだのと独身を貫くのも、それが自分らしさだとか自分らしく生きたいとか、それがまたカッコいいみたいな風潮もあるけど、やっぱりそんなに軽くないんだろうな。
 結婚自体のそれうんぬんじゃなくて、その先にあるものに思い描いてることへの違和感があるんじゃないかと。

 これが男なら、経済的に安定してれば、きっとそのままダラダラして、これといって深く思い悩んだりもしないだろうなと思うわけ。あわよくば、両方なんてどうだろうぐらい考えそうなもんだ。
 でも、女だ。
 すがり方も、本当に女のそれで、決して露骨には “ すがらない ” んだな、これが。
 それとなぁ~く、どれとなぁ~く、探りを入れながら、確かめながら、試しながら、徐々に入りこんでいこうとするところに、なんかこう…… “ 女のしたたかさ ” っつーのを感じた。

 とはいうものの、なんだかんだでこれは、あくまで “ 男から見た視点 ” のお話なんだろうなと。お話。お話。
 男が自分の恋愛関係の自慢をするみたいなニュアンスが多分に含まれてるかなっていう場面も多いのは否めないよ。
 なんだかんだで “ 女はサプライズに弱い ” 的な発想だったり、それなりの容姿でそれなりのお金があれば、ソー・イーズィーみたいなな。あとはロマンティックだとか、おしゃべり好きだとか。

 いや、わかるよ?
 並みのお金持ちじゃないし、ロマンティックなギフトも、粋な計らいもさ。そりゃ嬉しいだろうさ。
 でもさ?
 実際にはこう、女ってもっと慎重だと思うわけよ。
 お食事をご一緒にったって、いくらお金を持ってそうで、粋なプレゼントのしかたを心得てようが、相手が中年のおっさんなら、そうそう簡単にはついてかないでしょうに。
 さらに警戒するんじゃないか?

 まま、相手がおっさんってことでただのお遊びとか、たまたまオジサン好きとか、人それぞれ好みっつーのもあるしな。
 なんとなく冒険したくなるときってのもあれば、ちょっといつもとは違うタイプと付き合ってみようかなとかもあるさね。
 恋の行方なんざ、“ アルマゲドン ” より予測不可能。

 こういうところがまた “ 男視点 ” なんだろうな。
 たかが一度のお食事の席にそんな深い意味なんて持たないのかな、女の人って。
 そのあとのこととかなんて考えないのか?
 いやいや、とりあえずその場を踏んで、男の一時間後を乗り越えた一年後まで考えちゃってるのか?
 でもそのあとのことなんて全然考えないなんて、それはさすがに嘘だよな。

 なので、ジャンルとして、“ コメディ ” ではない。
 かな?
 と思う。


 と、そんなわけで、“ 男が思い描く男にとって都合よく想像しやすい女の典型 ” を演じる主演のクレア・デインズは、最高。
 大人なクレア・デインズは、なんともこれがまた艶かしい。
 なんか人生に退屈さを覚えつつも、艶っぽさが常にあって、デキそうでデキない女っていうのが見事。
 男にとってのスキがあって、それでいてそんな自分自身に自分なりに一人でもがいてる感じが、とってもナイス。
 そして恋人ができてなんだか盛り上がってる自分がいて、またそんな自分を客観的に見てる自分。
 なんとなくイメージ的な “ 現代女性 ” ってやつが凝縮されてる感じ。“ 結婚は、機会があれば…… ” っていう言葉のよく似合う雰囲気。

 スティーヴ・マーティンは、やっぱりコメディ俳優っていうイメージが抜けない役作りというか、設定なのか、そういう感じがした。
 いでたちとかしぐさとか物腰とかは、本当にリッチマンって雰囲気なんだけど、やっぱりなんか、どっか胡散臭さもある。
 おれならあんなオッサン、信じない。

 で、最初に付き合いだした恋人役のジェイソン・シュワルツマン。
 なんでだ?
 どうしても『40歳の童貞男』の人とかぶる。ずっとあの人だと思ってた。おぉ~、なんかマジメな役もなかなか素敵なのねって思ってた。
 でもまあ、よくよく見ると違うよな。
 この人 ──── ジェレミーね ──── 本当にいい人そうだ……トッポイ感じがまたたまらない。
 クレア・デインズとの最初のベッドインっていうときのやりとり、笑ったな。しっかり食っちゃうあたりがまたおかしい。愛しささえ感じたよ。
 やっぱりイタメンなんだろうけど、この人は、イタかわメン。イタメン・キューだ。
 個人的にはダメだった彼のほうが好きかなと。
 なんでこう、ダメ男ってのは愛しいんだい?


 まあ、楽しめた。
 ちょっと個人的な欲を言わしてもらうと、あともうひとひねり欲しかったかなと……

 あと、やっぱ邦題がな ──── “ 恋の商品価値 ” なんて余計なのはいらねぇんじゃねぇか?
 どうせなら “ Shopgirl ” もやめて、『自分に成功する方法』あたりがいいんでねぇの?

 54点!!

キャスト詳細情報

原題 :
『 Shopgirl 』
原作 :
スティーヴ・マーティン (Steve Martin) / 『ショップガール』(集英社刊) : Novel " Shopgirl "
監督 :
アナンド・タッカー (Anand Tucker)
製作 :
アショク・アムリトラジ (Ashok Amritraj)
ジョン・ジャシュニ (Jon Jashni)
スティーヴ・マーティン (Steve Martin)
製作総指揮 :
アンドリュー・シュガーマン (Andrew Sugerman)
脚本 :
スティーヴ・マーティン (Steve Martin)
撮影 :
ピーター・サシツキー (Peter Suschitzky)
衣装デザイン :
ナンシー・スタイナー (Nancy Steiner)
編集 :
デヴィッド・ギャンブル (David Gamble)
音楽 :
バーリントン・フェロング (Barrington Pheloung)
出演 :
スティーヴ・マーティン (Steve Martin) / レイ・ポーター (Ray Porter)
クレア・デインズ (Claire Danes) / ミラベル (Mirabelle)
ジェイソン・シュワルツマン (Jason Schwartzman) / ジェレミー (Jeremy)
ブリジット・ウィルソン=サンプラス (Bridgette Wilson-Sampras)
サム・ボトムズ (Sam Bottoms)
フランセス・コンロイ (Frances Conroy)
レベッカ・ピジョン (Rebecca Pidgeon)
クライド草津 (Clyde Kusatsu)
ロミー・ローズモント (Romy Rosemont)
レイチェル・ニコルズ (Rachel Nichols)

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