- 監督 :
- 三池崇史
- 特に目立つ人たち :
- 小栗旬
- 山田孝之
- やべきょうすけ
- おれが観たあらすじ :
- 鈴蘭高校のてっぺんを目指す若人たちの輪舞。原作は、高橋ヒロシさん作の『クローズ』。そっちでの主人公は、坊屋春道。
邦画の感想、第一発目!!
もうず~っと前に借りてきてたリリー・フランキーさんの大ベストセラー小説にて、大泉洋さん主演の映画『東京タワー』を差し置いての第一発目!!
つってもね、原作を読んでてあまりにも好きだったから、映画化されるって聞いた瞬間に、絶対観るって決めてたからね。
『東京タワー』はさ、ぶっちゃけ、大泉さんが観たいだけだったりするのよ。これがまた。
で、先日の『オールド・ボーイ』を借りに行った日が、ちょうど近所の≪ TSUTAYA ≫にて準新作半額の日だったわけで、それでまたうまいことこの『クローズZERO』も半額にて借りれちゃったわけ。
これまた江頭さん、ありがとう!!
『クローズZERO』観賞履歴 & 感想のまとめ。
- がむしゃらって、やっぱいい!!
いいねぇ~……
原作の漫画『クローズ』も高校か中学のときぐらいに二回ほど読んでる。
原作はホントおもしれぇ。学生時代に出て読んだもんだから、なおさらだったんだと思う。
でもこの映画『クローズZERO』は、原作とは、ちょっと違う。
──── そりゃそうか。
“ ZERO ” ってあえてついてるぐらいだから、それなりに新しいストーリーなの、これ?
だって、坊屋でしょ? 坊屋春道くんでしょ?
あのいかにもっていう眉毛して、炎のサイドブロー施した一見ちょっとイカしたチンピラくん。
まあ、一応 “ リンダマン ” はいたな。“ 武装戦線 ” もチラッと出てきたな。
とはいえ、やっぱしな。
原作のおもしろさには、いや、まあ、ちょっと劣 ────
──── らねぇよ!!
全然!!
こっちはこっちでおもしれぇの!!
なんか坊屋春道っていうどこか風格のあるチンピラで、どこかリアリティーに欠ける男じゃなく、ホントの青春、ホントに青い時代のリアリズムっつの?
まま、蹴り飛ばしたぐらいで『北斗の拳』みたいにズダン、ズダン、ズダーンって飛んでったりするのは愛嬌だけどもさ。
好きよぉ~。おれ、こういうの好きよぉ~。
大好きよ。
って言ってもな、おれって意外に、今まで一回も殴り合いのケンカっていうものをしたことがない。殴られたことはある。
中学のとき、ちょっと年上のチンピラ風情に、思いっきり鼻をゲンコツされまして、ダーダー鼻血垂らしたな、そういえば。
でもそこはまあね、部活もあったし、一応キャプテンだったしってことで ────
蹴ってきたそいつの片足をとらえつつ、“ あ、今こいつの足払ったら、絶対勝てるよね…… ” とか考えてたのは秘密だ。
なのに、なぜ好きかっていうと、がむしゃらな感じ? そんな表情?
むきだしな感情?
もう青いの通り越して、白い時代?
いいねぇ~……
というかまあ、中途半端に世のなかっつーのを知って大人になって、それでも熱くなれるときっていうのかな。
だからスポーツの青春映画も大好きなのよね。
でもやっぱ、そういう部分が一番出るのって、ただがむしゃらに “ てっぺん目指す ” っていう、こういう汗くさい映画も好きなのよ。
そうなの。そこなの。
“ 血生臭い ” んじゃないのよ。やっぱ。
まるで挨拶するみたいに “ やろうぜ ” とか言っちゃって、ケンカばっかりなんだけど、全然血腥くないのです。
ドロップキックが最高なんです。
この年になると、ホント、テレビとかじゃないと見れない光景なんだよな。
人間が、跳ぶんだよねぇ~……ホント。
それって、それが “ 気持ち ” だと思うんです。感じるんです。
気持ちをぶつけるって、なかなかないじゃん。なんか。もう。
ホント、対照的な主人公がいいな。この映画では。
原作では、もうホント坊屋春道くんの独壇場というか、ひと際個性が強い。
でもこの映画の主人公では、滝谷源治役の小栗旬さんと、芹沢多摩雄役の山田孝之さん。
映像で見てても、そこがくっきりと比較されてるのがビンビン伝わってきた。
特に最後のシーン。
小栗旬さんはすんげぇギラギラした目つきなのに対して、山田孝之さんのほうは、もう完全にやられちゃってたもんな ──── 目が据わってるっていうより、ほとんど死んだような目の表情。
でも、いざケンカになって、殴り倒したやつから顔を上げたその目つきは、イッちゃってる。むしろ、ケンカというか、殴る蹴るのケンカを楽しんでいるかのような目つき。
“ 次は? 次どこ? 次はどいつじゃ~!? ” みたいな超ハングリーさを感じさせたな。
そう、個人的には、山田孝之さんが演じる芹沢多摩雄っていうバケモノのほうが好きなの。
でもって、なにを見るんでも、必ず首を傾けてそれを見るっていうあのしぐさに、自分と同じにおいを感じてしまったわけであります。
見ればわかります。
普段の彼らも、すっげぇ対照的に描かれてる。
滝谷源治と芹沢多摩雄。
リッチと貧乏人。
ふてくされたような態度を見せつつも、やわらかい物腰で優しく人と接する滝谷源治。
向かってくる人間を廊下の隅っこへ蹴り飛ばしても、“ だれ? ” って仲間に全然興味なさそうな口調で訊く芹沢多摩雄。
てっぺん取りてぇって望んでる者と、そこに君臨してることがあたり前みたいな者。
でも、どっちもに共通してたのが、あったかさ。
仲間や友達を大事に思う心だよな。
あたり前のことって言うかもしれんけど、なかなかどうして、これが案外できてないこと。
というより、自分では大切にしてるつもりでも、それはただの独りよがりだったりする。
いやぁ~、シビれる。
これぞまさに、“ ずいぶん昔の漢 ” って感じ。
男が惚れる男たちって感じかな。
でもでも、まだまだ女の人からだって根強い男の姿なんだろうな。やっぱ。
むしろ、女の人のほうがこの映画を観て、青春時代っていうのを思い出すのかもしれないな。
それにしても山田孝之さんて、役どころの幅が広いっすねぇ~……
目の表情が絶妙に変わるって、ホントすげぇ。
ジャンキーみたいなイカレた目から、おどおどした小市民の目まで。雰囲気っつーか、その役の影まで背負ってる感じがする。
小栗旬さんは、やっぱどんな役でも美男子っていうのがどうしても消えない。
たしかにすっげぇ悪い感じはするんだけど、どこか優しそうというか、好青年っていう雰囲気が見えてしまう。目が優しすぎるのかねぇ~、小栗旬さんはさ。
でも、そんな小栗旬さんにイカレた役をやってもらってもまたいい感じなのかもしれまいに。
もしかすっと、このキャスト、逆でもまたおもしろいかもしれませんね。
まあでも、高校生なのに山田孝之さんのあの胸毛はちょっと、素敵すぎるよな。
ということで、山田孝之さんは、この映画により、好きな日本の俳優さんカテゴリー入り決定!!
小栗旬さんもだけど。
それにしてもまあ、よくぞこんなにもナイスなキャストさんたちを集めてくれたものですよ。
これが間違って、『ごくせん』人気にあやかっていようものなら、 “ クローズ ” じゃないよね。完全に “ オープン ” だ。
あ、そういえば、トキオ役の人、ずっと高島礼子さんの旦那さんの高知東生さんだと思ってた。
正直、それもアリだと思った。
あぁ~、なんかまた原作の漫画のほうも読みたくなってきたかも……
個人的には、“ リンダマン ” 、もうちょっと強烈なキャラにしてほしかったかな。
それに、あの程度の役どころなら、特に必要なかったのでは?
オリジナルな割に、なんか中途半端に原作を意識されてたのが、ちょっと残念。それならもう、ホント脱線してもよかったぐらいだと思う。
寝起きだったせいもあってか、いつもならいろいろ考えながら観るクセがついてるおれだけども、特になんも考えないで観て、存分に楽しませてもらった。
気づけば、130分もある映画。
あっちゅー間だったかなと。
原作も、良し。
映画も、良し。
あと何回観るんだろう……
まあ、ぶっちゃけさ?
映画にするまでもない映画なんだとは思う。
深さとか演出とか芸術性とか、そりゃ観る人が観れば、カメラワークだ美術だなんだっていろいろ映画祭の受賞に値するところもあるかもしらんさ。
でも、この映画は、“ 映画とは、娯楽であれ!! ” っていうのを改めて教えてくれた。
っつーか、続き、あるよね? 明らかにあるよね、あれ?
むしろ、だから “ ZERO ” なんだよね?
もしこれで終わりなら ────
そんなんじゃ “ てっぺん ” とれねぇぞ、オラ!!
キャスト詳細情報
- 原作 :
- 『クローズ』 / 高橋ヒロシ (秋田書店 少年チャンピオンコミックス刊)
- 企画 :
- 濱名一哉
- 監督 :
- 三池崇史
- プロデューサー :
- 山本又一朗
- 佐谷秀美
- アソシエイトプロデューサー :
- 岡田有正
- 富田敏家
- 堀之内郁哉
- 脚本 :
- 武藤将吾
- 撮影 :
- 古谷巧
- 美術 :
- 林田裕至
- 編集 :
- 掛須秀一
- 長坂智樹
- 音楽 :
- 大坪直樹
- 古川ヒロシ
- 出演 :
- 小栗旬 : 滝谷源治
- やべきょうすけ : 桐拳
- 黒木メイサ : 逢沢ルカ
- 桐谷健太 : 辰川時生
- 高橋努 : 牧瀬隆史
- 鈴之助 : 田村忠太
- 遠藤要 : 戸梶勇次
- 上地雄輔 : 筒本将治
- 大東俊介 : 桐島ヒロミ
- 小柳友 : 杉原誠
- 渡辺大 : 阪東秀人
- 深水元基 : 林田恵
- 伊崎右典 : 三上学
- 伊崎央登 : 三上豪
- 松重豊 : 牛山
- 塩見三省 : 黒岩義信
- 遠藤憲一 : 矢崎丈治
- 岸谷五朗 : 滝谷英雄
- 高岡蒼甫 : 伊崎瞬
- 山田孝之 : 芹沢多摩雄