『オールド・ボーイ』(OLDBOY) / パク・チャヌク、チェ・ミンシク

監督 :
パク・チャヌク
特に目立つ人たち :
チェ・ミンシク
ユ・ジテ
カン・ヘジョン
おれが観たあらすじ :
本能ゲーム ──── だれが、なぜ、なんのために、なにもわからぬまま15年も監禁された男の復讐劇。どこからどこまでが愛で、どこを超えれば、それはタブーになるのか。

 先日届いた『江頭2:50のピーピーピーするぞ! 始末書覚悟の逆修正バージョン』 DVDの “ エィガ一刀両断 ” というコーナーのなかで、江頭2:50さんがついに10点満点をつけた映画。
 すぐさま服を着なおしてまで借りに行って即観た韓国映画。
 そりゃ、あの江頭さんが満点つけりゃアータ、観ないわけにいかないでしょう!!

『オールド・ボーイ』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. おれは9点!! ……それでも、おれは9点!!

 “ エィガ一刀両断 ” のなかで、ついに10点満点を出した江頭2:50さん。
 たしか『スウィーニー・トッド』で “ 9点 ” 、そして世界中が代絶賛したあの『硫黄島からの手紙』に “ 6.5点 ” をつけくさった江頭2:50さんが、ついに満点をつけたこの映画。

 だが、しかし ────

 おれは9点!!!!!!!!!

 それはなぜなら、理由は簡単。
 全部で3つ。
 採点において、重要な割合を占めたと思われる順。

 まず一つめにして最大の理由は、この映画が韓国語だったから。
 そんなのは観る前からわかってたことなんだけど、ただ単純に、おれは韓国語っていうのが嫌いなの。なんでか知らんけど、あの響きが耳に心地悪いの。気持ち悪いの。
 中国語、広東語は、とっても耳に心地よく響いてくるのにな。
 カタいのか?
 堅苦しいというか、兵隊というか軍隊チックというか、軍隊のなかで上から下への命令みたいな感じに聞こえてくる。北朝鮮のニュースでしゃべってる感じと一緒なのよ。
 聞いてて疲れんだな、たぶん。

 第2。
 それはもう、なにを言うかほかでもない ──── “ エィガ一刀両断 ” のなかで、江頭2:50さんがこの映画の内容しゃべってるのを全部聞いたから。
 エグいところも、濃いところも、感動的なところも、ほとんどしゃべってくれたんだもの。
 そりゃ 先が読めないのよ って一刀両断してた映画だけども、先が読めるのなんのってもう……

 とはいえ、“ エィガ一刀両断 ” のなかで江頭2:50さんも言ってるけど、それでもまだまだ映画の内容のほうが濃い。
 でもけっこう、大事なシーンとかやりとりとか、しぐさとか演技とか、雰囲気まで完全に交えて語り尽くしてくれてるんだな、これが。
 実際、江頭2:50さんのほうが怖いし、エグかったもので、つい……

 ただまあ、江頭さんの語りを聞いてなくても、人間どうしの関係性はわりかし読めてしまったかなというのはナイショだよ?
 なにをしたかとか、ほぼ主軸といっていい “ なぜ? ” っていうのは、観ないとわからん。絶対に。これは絶対。
 先入観を抱いて挑むのは、たいへん危険。
 つっても、そこは江頭さんがバッチリ話してくれちゃってたんだけどもね。アハハ~。

 そして最後の理由。
 観てる最中に、やっぱり韓国語のせいなのか、ハリウッドでのリメイク版が観たいと感じてしまったから。
 でもこれ、どうなんだろう?
 韓国だからこんなにもダークな雰囲気が出るのかなぁ~。ハリウッドで英語になって、さらにハリウッドの俳優さんや女優さんらという華のあるキャストに飾られてしまうと、これぐらいのイカレ具合なら、逆に見慣れた感じがにじんじゃうのかなぁ~。
 エグさもグロさも、禁忌やタブーの琴線に触れてるところも、なんとなく雰囲気がよくある感じだもんな。
 なんか微妙なところだな。
 もしハリウッドでリメイクするんだったら、むしろ無名な役者さんたちで雰囲気のある人たちをキャスティングしていただきたいなと。


 だが、ちょっと待てよ?
 おれは韓国語がすこぶる嫌い。
 江頭2:50さんがさんざん内容をしゃべりまくってくれた。ほぼ完璧といっていいほどの演技も交えてさ。
 それでこの点数なんだよ?
 ──── わかる? そこの重要さ加減がさ?


 この映画の凄さは、その三重の暗さとその雰囲気の演出力にあるのかなと。
 そんじょそこらの任侠ものとかマフィアとか、ノワールなんかよりずっと暗くてダークネス。
 江頭2:50さんが “ エィガ一刀両断 ” のなかで言ってた。

この人、センスの塊みたいな人だよ。

 この人ってのは、パク・チャヌク監督さんのことらしい。『親切なクムジャさん』も撮ってるっていうくだりからの発言。
 ただ映画ばっか観るだけで監督さんのすごさはまるでわからないおれだけど、おれからすれば、そのセンスを感じとる江頭2:50さんがすげぇなと思った。
 だから観たの ──── “ そんな江頭2:50さんに10点満点をつけさせる映画ってのは、どんななのよ ” と。

 カメラワークに独白の入れ方、俳優さんの表情の映し方、グロいなかにも芸術的な表現があって、禁忌のなかにも神秘さというか、誠実さというか、真実めいたものが光ってたりしたような気がする。
 そして、執拗なまでのしつこさ。繰り返し繰り返し。繰り返し繰り返し……
 まるで、観る側を洗脳しようとしてるかのようなしつこさで言葉が繰り返される。呪いだ。
 それもまた演出なんだろうな。
 あれこそが人間の恐ろしさなんだろうか。

 そうだな、人間の一般的な価値基準である “ 善悪 ” っていうのを超越した基準で動いてる。
 まま、ありがちだけど “ 本能 ” ってやつか ────

 と、そこを褒めると、あくまで原作のストーリー性が素晴らしいってことになるのかな。
 でも、このエグさ、グロさ、暗さ、表も裏も、裏を返してもタブーっていうこの展開は、おれ、好き。
 でまた、映像としてのそれがすっげぇよかったと思う。
 どっちもイカレてるようで、どちらも正論をぶっ放してたり。
 “ イカレた正論 ” っていうのは、超然と存在するらしい。


 個人的には、ミドにも開けてほしかったかなぁ~とか思ってみたり……
 あ、でも、それじゃあ禁忌というか、対照的な二人の明暗が成立しなくなっちゃうのか。そうか。
 つっても、どっちも “ 暗 ” だと思うけどさ。
 もう真逆って言ってもいいぐらいキャラの立った二人だけど、実際似た者どうしとして描かれてるようにも見えなくない。
 だからか?
 だから最後、開けちゃダメだったんだな……そうだな。

 あぁ~、なるほどな!!
 そういうことかい。
 経過とエンディングでまたどんでん返しっていうやつか。
 最後にオ・デスにかけた優越感たっぷりなユ・ジテの言葉 ──── あれにはちょっとおれもゾクッとしたな。
 で、そっからさらに待ち受けていた明暗なのね。それが選択か。
 明暗をわける選択。
 なるほどぉ~……ずいぶんと深ぇな、おい。

 あそこで開けたら ──── まあ、あそこで開けたら開けたで、また違うように展開されてくんだろうけど、開けないからこそのハッピーエンドなんだな。
 個人的には、あの状況でも生きてたっていうのがバッドエンドだったけども、アドレナリンと精神力の差なのかな。迫力ってやつか。
 ありゃ完全にハッピーエンドだ。


 まま、でももし、江頭2:50さんのほうが怖かったといえど、江頭さんがオ・デスの役を演じた場合、やっぱちょっとキツいだろうな。
 ホントただ怖いだけ、いや、ヤバいだけになりそうな気がす ──── あの状況に立たされて感情移入した江頭2:50さんが、自分の舌をハサミでちょん切るなんてもうもうもうもう……想像すらしたくないっす。絶対うなされるわ。
 でも、“ エィガ一刀両断 ” のあの演技を見たら、江頭2:50さんでもイケるような気がするんだよなぁ~。イメージだけでなら。
 まま、実際には江頭2:50さんて、ものっすごい真面目そうだから、逆にできないかもしれないな、こういう役って。
 とはいうものの、最初の設定にある “ 普通のサラリーマンで、幸せな家庭 ” っていうのには、ちょっと合ってないかなと(笑)

 “ エィガ一刀両断 ” 毎回観てて感じるんだけど、江頭2:50さんて、ものっすごい感性が鋭いのかなと。洞察力っていうのかな。
 めっちゃ見てるよな、江頭さんて。たぶん。
 まあ、年間200本も映画観るっていうから、ただ目が肥えてるのかもしらんけど、いちいちすっげぇいいとこ突いてくる。
 解説もすっげぇ真面目だし、すっげぇ論理的で、核心ついてるっていうか、なんというか、リアル。
 辛口じゃなくて、あれが実際のところで、事実なんだと思うのよ。
 頭のいい解説っていうか、ほとんど内容しゃべっちゃうけど、それでも “ 観てみたい!! ” って感じさせるような魅力を持って語ってくれるからな。
 江頭さんに番宣してもらえばいいのにな。


 まあ江頭さんの話じゃねぇ。
 とりあえず、ハリウッドでリメイクされるより前に、ニッポンでリメイク版作ってみたほうがいいかもね。
 というより、日本原作の漫画なのに、一発目で韓国に先取りされたのか、素直に渡しちゃったのかが疑問。主人公がまんま韓国っていう設定なのか?
 ぶっちゃけ、オ・デス役の俳優さんって、『シュリ』の人だけど、パッケージとか予告でもどう見たって日本人だもんな。役所広司さん、そのまんまって感じじゃん。
 むしろ、日本でまたリメイクするんだったら、イメージではすっげぇ固い感じのする俳優さんでお願いしたい。
 で、監督は三谷幸喜。
 それはなぜなら、あの人の客観性はすこぶるすげぇと思うから。
 笑いというかコメディというか、そういう映画を撮っておられるようでイメージ的に違うかもしれんけど、雰囲気のある映画っていったら、三谷さんでしょう。
 笑いをちりばめることで、もっとこの暗い雰囲気がぐっと引き立つのではないかなと。
 邦画ってほとんど観ないけども、たぶんあの人以上に雰囲気を作りだせる映画監督さんて、日本にいないんじゃないかなと思うわけよ。その映画に、その映画のっていう雰囲気な。
 客観的にこの『オールド・ボーイ』っていうストーリーを語ってほしいなと。ちょっとこちらの韓国の監督さんは、自分もこのストーリーに感情移入しちゃってるような感じを受けたもので。
 そしたらまた観るよ。おれ。絶対。


 とはいえ、この『オールド・ボーイ』って、“ エィガ一刀両断 ” で観るよりずっと前から観てみたいと思ってた映画だったりしてな。
 そこにたまたまこないだ買った『江頭2:50のピーピーピーするぞ!』の DVD で語られてた上に、江頭さんが10点満点なんてつけてくれちゃったもんだから、真っ裸の寝る準備万端だったにも関わらず、即立ちこぎで借りに行ってしまったの。
 前々からずっと観たかった映画の一つだったんだな、これが。
 ただ韓国映画だったからさ……

 江頭2:50さん、ありがとう!!

 でも、原作はおれ、いいや……

キャスト詳細情報

英題 :
『 OLDBOY 』
原作 :
『オールド・ボーイ』(双葉社・アクションコミックス刊) : (作)土屋ガロン (Garon Tsuchiya) / (画)嶺岸信明 (Nobuaki Minegishi)
監督 :
パク・チャヌク (Chan-wook Park)
プロデューサー :
キム・ドンジュ (Dong-ju Kim)
撮影 :
チョン・ジョンフン
音楽プロデューサー :
チョ・ヨンウク
出演 :
チェ・ミンシク (Min-sik Choi) / オ・デス (Dae-su Oh)
ユ・ジテ (Ji-tae Yu) / イ・ウジン (Woo-jin Lee)
カン・ヘジョン (Hye-jeong Kang) / ミド (Mi-do)
チ・デハン (Dae-han Ji)
キム・ビョンオク (Byeong-ok Kim)
オ・ダルス (Dal-su Oh)
ユン・ジンソ (Jin-seo Yun)

 オールド・ボーイ (1-8巻 全巻)

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