『ハサミを持って突っ走る』(Running with scissors) / ジョセフ・クロス

監督 :
ライアン・マーフィー
特に目立つ人たち :
ジョセフ・クロス
アネット・ベニング
ブライアン・コックス
ジル・クレイバーグ
おれが観たあらすじ :
人間とは、みんなイカレで、みんながフツー。

 フツーなんてもんもない。
 映画化は失敗。

『ハサミを持って突っ走る』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. 第1回目観賞 : おれは、人の日記に興味が持てない。

 ん~……とりあえず、持ってねぇけど?

 まあ、しょっぱなから否定的な発言も否めない内容であります。
 冒頭から作者によるお言葉がまた……

──── どこから話しても、きっと信じてもらえないだろう。

 まさに!!
 んな話あるかよ、おまえ……
 信じろっつーほうが無理な話。
 というより、信じるとか信じないとか、理解するしないっていうより、“ ありのままをそのまま受け入れろ ” って言ったほうがまだいい。
 まあ、この物語のメッセージも、きっとそういうことなんだろうなと。


 登場人物は、特に触れない。
 アレック・ボールドウィン。『愛しのローズマリー』ではおれの果てなく愛してやまないかのジャック・ブラックと共演したグウィネス・パルトロー。『ドリフターズ/あの人たち』……いや、大きなミステイク。『グリフターズ/詐欺師たち』のアネット・ベニング。
 それなりに魅力的なキャストなんだけど、やっぱ、おれにとっては、あくまでそれなりなの。
 その映画ごとには魅力的だったりするんだけど、この映画では、映画が映画だけに、たいして登場人物には魅力を感じなかった。
 むしろ、キャストなんて特にそれなりであれば、だれでもよかったんじゃないか?
 この人じゃなダメだっていう存在感を放ってた俳優さん、女優さんは皆無。
 ぶっちゃけ、主だった登場人物、いわゆる主人公より、脇役のナタリーのほうが、異様な迫力と強がり、そして影を落とす悲壮感で印象に残ってる。
 結局は、原作者オーガステン・バロウズの映画でしかなかったといえる。


 実話をベースにしてるって話。
 同じタイトルでの小説として原作がある。オーガステン・バロウズ。
 こないだ『プリズン・ブレイク2』を観終わったばっかりってことで、どうしてもあのリンカーンの顔しか想像できてなかったのは内緒。
 そして、最後の最後で落胆。
 出てくんなよ、おまえ……あの瞬間、すこぶる後味が悪くなっちまっただよ。

 まあ、“ 実話をベース ” にしてるとは言っても、あくまで原作者オーガステン・バロウズも冒頭で書いてるように “ 僕の思い出にもとづく ” ということらしい。
 実話も実話、トゥルー・ストーリーもいいとこだ。
 でも人間の思い出だ。きっといろんなところが脚色されてるはず。

 原作者も言っていた。

事実だけをダラ~っと書き連ねるほうがラク

 そりゃそうだ。感情とかウィットとかを入れないで、事実だけをぶっこんでく文章ほどラクなものはない。
 それプラス、売り出すわけだから、ユーモアとか会話のおもしろさも必要不可欠な要素になる。
 そりゃ難しくなって当然至極。いや、難しくなきゃ、きっといいものなんて書けないだろうし、こうして小説として世に送り出そうともしてなかったことでしょう。
 ほんのちょっとしか出てないけど、彼からは、そんな印象を受けた。

 そう、“ 文学的なノリ ” っつーか、そのまま文学なの、やっぱ。
 きっと、映像がジャマをしたような気さえする。
 やっぱ映像が入ってしまうと、そこまで深くは考えなくなってしまうわけだ。想像しない。はたまた、考えるっていうことを必要としなくなる。ありのままを受け入れるだけになってしまうわけだ。
 主人公の葛藤だとか、母の心情、父の状況、フィンチ医師の背景、全然深くは語られないナタリーの苦悩、ホープの現実と空想。そしてその “ ホープ ” っていう名前。
 これが映像になってしまうと、結局はただのイカレた連中にしか映らないわけだ。というより、映ってるものがすべてに成り下がってしまうってんだな。
 で、そこに、拍車、さらには追い討ちをかけるがごとく、あの PPP が出しゃばってくる。
 そしてこんなことを言う。

──── 映画化はしないと決めていたんだ。なぜなら、小説で非常に成功しているからね。

 台無しだよ。台無しなんだよ。ホンっト、台無しなんだよ。


 まあねまあね、人間の想い出っつーやつは、強烈かつ鮮明なリアルほど、よりファンタジーになりがちだ。
 わかる。わかるよ?
 でもそれならさ、なおさら映画化するってんだしファンタジーな部分は抜いてほしかったかなと思う。
 それが率直な感想だ。
 もっと正直に言ってしまうと、いくら製作にあの、あのブラッド・ピットが携わっていたとしても、つまんねぇんだよ。どうせならブラッド・ピットに出演してもらえばよかったんだよ。
 それなら、ただそれだけで “ おもしろい!! ” って書いたよ、きっと。

 ……ただ。
 ただだ。
 インターネットで人の日記を読むのが好きっていう人は、けっこう楽しめるんじゃないかなと思ふ。
 それはなぜなら、フツーに “ おもしろい日記 ” だから。


タイトル :
『 Running with Scissors 』
原作 :
オーガステン・バロウズ (Augusten Burroughs) / 『ハサミを持って突っ走る』(バジリコ刊)
監督 :
ライアン・マーフィー (Ryan Murphy)
製作 :
デデ・ガードナー (Dede Gardner)
ブラッド・グレイ (Brad Grey)
ライアン・マーフィー (Ryan Murphy)
ブラッド・ピット (Brad Pitt)
製作総指揮 :
スティーヴン・サミュエルズ (Steve Samuels)
脚本 :
ライアン・マーフィー (Ryan Murphy)
撮影 :
クリストファー・バッファ (Christopher Baffa)
音楽 :
ジェームズ・S・レヴィン (James S. Levine)
出演 :
ジョセフ・クロス (Joseph Cross) / オーガステン・バロウズ (Augusten Burroughs)
アネット・ベニング (Annette Bening) / ディアドラ・バロウズ (Deirdre Burroughs)
アレック・ボールドウィン (Alec Baldwin) / ノーマン・バロウズ (Norman Burroughs)
ブライアン・コックス (Brian Cox) / ドクター・フィンチ (Dr. Finch)
グウィネス・パルトロー (Gwyneth Paltrow) / ホープ・フィンチ (Hope Finch)
ジョセフ・ファインズ (Joseph Fiennes) / 二ール・ブックマン (Neil Bookman)
エヴァン・レイチェル・ウッド (Evan Rachel Wood) / ナタリー・フィンチ (Natalie Finch)
ジル・クレイバーグ (Jill Clayburgh) / アグネス・フィンチ (Agnes Finch)
ガブリエル・ユニオン (Gabrielle Union) / ドロシー (Dorothy)
パトリック・ウィルソン (Patrick Wilson) / マイケル・シェパード (Michael Shephard)
クリスティン・チェノウェス (Kristin Chenoweth) / フェーン (Fern Stewart)
ダグマーラ・ドミンスク (Dagmara Dominczyk) / スザンヌ (Suzanne)
コリーン・キャンプ (Colleen Camp) / ジョアン (Joan)

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