『ギャングスターズ 明日へのタッチダウン』(Gridiron gang) / ザ・ロック

監督 :
フィル・ジョアノー
特に目立つ人たち :
ザ・ロック
イグジビット
ジェイド・ヨーカー
ヴィッド・V・トーマス
トレヴァー・オブライエン
セツ・ターセ
おれが観たあらすじ :
環境に、そして自分自身に翻弄された “ 負け犬 ” たちの物語。

 ちょっと観たい。時間もないし、食後から寝るまでの一服とスウィーツタイムとして、映画を観とこう。
 候補はもちろん、たくさんある。今もなお山積みだ。
 でも、せっかくだからってことで、期待と不安を山積みにした極限状態のチョイスが、この映画。

『ギャングスターズ 明日へのタッチダウン』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. 第1回目観賞 : アメフトは、“ 頭がよくてあの容姿 ” よりも、反則だ。

 アメフトは反則!!
 ずっけぇ……マジせけぇよ。
 青春映画のスポーツもので、アメフト持ってくるのは反則だって!!
 絶対泣く……

 期待大、不安大で観たら、やっぱり泣いた……
 もうダメだ……年寄りで涙腺ゆるんだとか目にゴミが入っただけとか、まつ毛にタッチダウンされただけとか、そんな言い訳通用しねぇの。
 『タイタンズを忘れない』から始まり、『リプレイスメント』、『エニイ・ギブン・サンデー』、青春じゃなくてもアメフトは恐ろしい感動を巻き起こす。必ず涙が、微笑みとともにこぼれ落ちる。
 アメフトは泣きの殿堂入り決定。


 でもこれは、完全なる実話らしい。
 “ 特典映像 ” では、ドキュメンタリーも収録されてた。まったく同じ言葉が映画のなかでも使われてたり、それがまたすんげぇ心にグッとくる言葉だったり。

 犯罪を犯し、償いの期間を経て少年院を出ても、また戻ってくるか、あるいは、ところかまわず死んでいるかしかない現状。
 なんら変わらない少年たち。また仲間のもとへと帰っていくだけ。
 なにが更生施設か。なにが教育か。
 そこで立ち上がった教官たちと、とある少年たちの、まっこと熱き物語。

 いやいや、デンゼル・ワシントン主演、だけど主役は少年たちの『タイタンズを忘れない』で思い知ってるだけに、期待なんぞ抱くまでもなく自然と手が伸びた。
 ダウンタウン? 黒人街?
 そんな町の少年たち。
 学力もなければ、信頼関係もない。あるのは友情と家族と、銃声。
 ギャングになることが未来みたいな様相を呈するプロローグだ。腕には自分の住むブロックのタトゥーが彫られ、殺人の理由もたったそれだけ。
 欲しがる前に諦めてしまうほどの潔さ。
 やっぱり日本じゃ想像もできないし、イメージだけでそれと決めつけてしまうことすら許されない完膚なきまでに環境が左右する未来。
 道しるべなんてものはない。もしもあるなら、それは、命。

 間違った方向だけど、余計なもののないすごくシンプルな世界に映る。
 そうしなければ、自分が、生きていけない。
 だけど、守る術を知らない。銃か仲間か。
 学校にもろくに行かない。学校よりも少年院に通ってる感じがする。

 そして、そのほうがラクな生き方。死に方。
 明日なんて必要ないなんて強がるほどの潔さと弱さ。
 仲間が殺されれば涙を流し、自分の命すら惜しまないほどの強い感情も持ってる。
 だけど、違うよね。
 やっぱ、違うよね。
 きっと強く、もっと強くなりたい、強くありたいと心のなかでは思ってると思う。それが伝わってくるから、その弱さが際立ってしまうんだろうな。

 強さを持った大人が現れるけど、その人も心のなかには同じ弱さを抱えてる。
 アメフトの花形プレイヤーだった過去を、少年たちの未来にした。
 変えてやりたいのと同時に、変わりたいのは、きっと一番は自分だったんだろうな。


 なんだろう?
 アメフトって、人間の人生に似てる。
 走って走って、走りまくって、時には激しくぶつかり合っていきながら、少しずつ少しずつ自分たちを進めていく。
 戦術が岐路であり、パスが絆で、スクラムは障害だったり休憩だったりして、タッチダウンが先にある未来。
 すっげぇ似てる。むしろ、そのものって思えてくる。
 だから観てる側も、自然と熱が入ってしまうし、本気で応援したくなる。

 あ、そうそう。
 “ 特典映像 ” のドキュメンタリーにも収録されてるけど、アメフトが本気。すっげぇ迫力。
 『リプレイスメント』はなんか演出的なアメフトな感じがしたし、『エニイ・ギブン・サンデー』はすっげぇけど、なんかこっちはさらにすげぇ。
 ありゃビリーも真っ青なキャンプだよ。
 でもまあ、おれも現役のころはあれぐらいシゴかれてみたかったなぁ~っていう憧れもあった。

 バスケも頭がよくないとうまくはなれないと言われてるけど、戦術が一つのチームでも200以上も存在するというアメリカン・フットボールには勝てない。
 バスケは、なんだかんだで体が覚えたり、身体能力だけでもある程度までならカバーできたりする。
 とはいうもの、きっと頭のなかでも使う場所が違うスポーツどうしだろうから、引き合いに出すこと自体が間違いだな。

 ちょっと想像してみる……もしおれがアメフトをやってたら、と。

 ──────── 無理。
 基本的にスポーツは大好きだけど、人とぶつかるのは好きじゃない。バスケの現役のころは、サッカーを “ 野蛮 ” と呼び、ラグビーは ” ケダモノ ” と呼んだ。
 あんなでっけぇ、しかも汗くさい男たちと交わるなんざ、無理も無理、800% 無理。
 だからそんな想像はしない限る。観る専門。

 完全にムダ話だな。


 まま、とにかく、アメフトはホント反則なんだよ。
 全身で、そして熱い仲間たちと、がっつり人生ってやつを見せつけてくれちゃうんだから。
 そりゃ泣くし、思いっきり咆えもするさ。
 同じ青春ものとはいえ、『タイタンズを忘れない』とは抱えてる問題こそ違えども、人生を歩んでいく若者たちの熱い気持ちは一緒だ。
 それは、おれの心を打つには十二分。これまでのおれを粉砕するほどに打ちまくられた。


 さて、登場人物についてだな。
 でも実際、この映画に出てる人たちって、あんまりメジャーどころじゃねぇ。だからあんま知らねぇんだよな。

 主演のザ・ロック。
 実際にはなかなかのビッグ・ネームらしいけど、“ あぁ~、なんかこういうの見たことあるなぁ~ ” っていうのを、観たら憶えてたっていう印象しかない。
 もう完全にターザンだ。それか、完全な悪役顔。
 マフィアだな。とはいえ、ドンのボディーガードって感じだけど。
 アメリカのアントニオ猪木さんって感じ。さすがにガタイもかなりいい。お名前のとおり “ ザ・岩 ” だな。

 あとは黒人さんの少年たち。
 やっぱり一番目を引くのは、ウィリー・ウェザース役のジェイド・ヨーカーでしょ。
 むしろ、アントニオさんより主役っぽい。オーラっていうか、存在感もかなり放出してる。
 いつも笑ってるチビッコ ──────── 映画のなかでも言ってたけど、“ 人を刺したようには見えないな ” って、なんでそうなったのかの経緯が知りたい。

 でもって、“ ジュニア ” って呼ばれてた人!!
 名前はわからんけど、あの人すげぇ……
 一人の人間が変わっていく様っていうか、精神的な変化を表現するのがすげぇうめぇ。驚愕に値する。
 物語の最初とは本当に変わったし、変わったっていうのが言葉とか話し方、声、そのしぐさの一つひとつから滔々と伝わってくる。それでいて自然。
 最初はホントに子供に見えるけど、最後にはもうコーチ以上の立派なおっさんだ。
 途中、腕を上げてチームを一つにまとめるっていうシーンでは、どこかサイババに見えたのは内緒だよ。


 いやぁ~……
 いやぁ~、ホント……
 泣くよ?
 これはマジで観たほうがいい。
 友情とか仲間とかだけじゃなく、さまざまな家族愛 ──── 愛ゆえに歪んだものも含めて ──── っていうのもリアルに見ることができる。ケニーの涙には、おれも思わず泣いてしまった。
 人の痛みも優しさも弱さも強さも、人間の熱い気持ちが見れる。

 嬉し涙の熱さって、こういうとこにあるんだろうなって本気で感じる。熱い涙の素晴らしさって、きっと忘れてなきゃいつでもこぼれてくるもんなんだな。
 でも人の熱い気持ちなんて消えたりしねぇさ。

 なにも知らねぇ子供たちが持ってんだ。
 おれたち大人が持ってないわけがねぇ。

 心から熱くなれるって、ホンット、いいことですね。
 もしも忘れかけてしまってるなら、もう一度 ──────── いや、何度でも。

 だからおれも ────────

 エム!! ユー!! エス!! ティー!! エイ!! エヌ!! ジー!! エス!!

 M u s t a n g s !!!! M u s t a n g s !!!!

 “ おまえら、自分のチーム名すら言えないのか!! ──────── まったく……ふん。 ”


タイトル :
『 Gridiron Gang 』
原作 :
ジャック・フランダース (Jac Flanders) / "Gridiron Gang"
監督 :
フィル・ジョアノー (Phil Joanou)
製作 :
ニール・H・モリッツ (Neal H. Moritz)
リー・スタンリー (Lee Stanley)
製作総指揮 :
ライアン・カヴァノー (Ryan Kavanaugh)
マイケル・ラックミル (Michael Rachmil)
リンウッド・スピンクス (Lynwood Spinks)
シェーン・スタンリー (Shane Stanley)
脚本 :
ジェフ・マグワイア (Jeff Maguire)
撮影 :
ジェフ・カッター (Jeff Cutter)
音楽 :
トレヴァー・ラビン (Trevor Rabin)
出演 :
ザ・ロック (Dwayne 'The Rock' Johnson) / ショーン・ポーター (Sean Porter)
イグジビット (Xzibit) / マルコム・ムーア (Malcolm Moore)
L・スコット・コードウェル(L. Scott Caldwell) / ボビー・ポーター (Bobbi Porter)
レオン・リッピー (Leon Rippy) / ポール・ハイガ (Paul Higa)
ケヴィン・ダン (Kevin Dunn) / テッド・デクスター (Ted Dexter)
ジェイド・ヨーカー (Jade Yorker) / ウィリー・ウェザース (Willie Weathers)
ブランドン・スミス (Brandon Mychal Smith) / バグ・ウェンダル (Bug Wendal)
ジャーニー・スモレット (Jurnee Smollett) / ダニエール・ロリンズ (Danyelle Rollins)
マイケル・J・ペイガン (Michael J. Pagan) / ロジャー・ウェザース (Roger Weathers)
デヴィッド・V・トーマス (David V. Thomas) / ケルヴィン・オーウェンズ (Kelvin Owens)
トレヴァー・オブライエン (Trever O'Brien) / ケニー・ベイツ (Kenny Bates)
セツ・ターセ (Setu Taase) / ジュニア (Junior Palaita)
モー (Mo) / レオン・ヘイズ (Leon Hayes)
オマリ・ハードウィック (Omari Hardwick) / フリー (Free)
ダン・マーティン (Dan Martin)
マイケル・ジェイス (Michael Jace)
ブレット・カレン (Brett Cullen)
メアリー・マーラ (Mary Mara)
アンナ・マリア・ホースフォード (Anna Maria Horsford)

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