『インビジブル2』(Hollow man 2) / クリスチャン・スレーター

監督 :
クラウディオ・ファエ
特に目立つ人たち :
クリスチャン・スレイター
ピーター・ファシネリ
ローラ・レーガン
おれが観たあらすじ :
人間の透明化による本能と陰謀。SF とミステリー。

 起きてからバイトまでの時間、もうかれこれ4本目の映画だった。


『インビジブル2』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. 第1回目観賞 : ホントの勇気見せたのかい? 『3』に期待?

 とりあえず、主役にクリスチャン・スレーターを持ってきたってのにサプライズ。
 というより、持ってこれたのが驚き。
 一作目ではケヴィン・ベーコンでしょ?
 どんだけビッグ・ネーム引っ張ってくるんだ?
 そんなに資金力のある製作陣なのか?

 一作目も、そんなに期待せずに観た。それは主演がケヴィン・ベーコンだから。
 二作目のこれも、理由は同じ。きっとたいして好きでもない人なら、シリーズの2とはいえ、観てなかったと思う。

 そこまでおもしろいっていう映画じゃない。メインとなる “ 透明人間 ” っていうのはありきたりだし、そこから生まれる人間としての凶気も平凡なもんにとどまってる。
 意外に、天才じゃなかった。おれの脳の範疇にいた。
 まあ、いくら天才といえど、本能の部分にまでさかのぼればただの人間だからな。男なら、とりあえず女の一人や二人襲うだろうし、なんのリスクもなければ人だって殺してみたくもなるだろうさ。
 でも、映画のキャラクター的には、菓子パンが大好きっていう設定は、『オーシャンズ13』のラスティ役と同様、すごく好き。


 話を『2』に戻そう。
 一作目同様、CG はすごいと思う。いや、めっちゃすごい。
 あ、今は VFX っていうのか? 特殊効果?
 まあ、衝撃度でいえば、『1』のほうが強いけども、『2』では、なんか自然に馴染みすぎてて、そこが逆にすごいかも。
 でも肝心の、お話のほうが……

 これもまたありがちな範囲内だったかなと。
 鬼ごっこな『1』あってその続編『2』では、たいがい元秘密工作員だったり特殊部隊だったりする。より捕まえづらい登場人物になって帰ってくるもんだ。
 たしかにそれは紛れもない “ 進化 ” かもしれんし、そっちのほうがおもしろいけど、そこがまずがっかり。
 それならそれで、もっともっと頭がキレて、タフで、実践での経験もふまえた上で前作の天才博士の脳をも凌駕するほどじゃないと盛り上がりに欠けるのは必至。
 “ 常に極限の状態 ” で挑んでた割には、緩和剤に執着しすぎなのと、意外と手段選ぶよな。
 実は、おちこぼれだったのか?

 そして、『2』を観ると、どうしても前作と比較してしまう。
 同じ理由で観たともあって、前作の主人公ケヴィン・ベーコンを引き合いに出してしまう。
 クリスチャン・スレーターは、おれ大好きなんです。
 でも、ケヴィン・ベーコンのほうがイカレてた。キャラクターとしての魅力は、ケヴィン・ベーコンの勝ち。博士のくせに、ケヴィン・ベーコンなだけにその肉体も素敵なんだな。
 イカレっぷりも手伝ってか、その執念っていうものがケヴィン・ベーコンを勝らなかった。
 でも、クリスチャン・スレーターも好きなんです。
 だから『インビジブル2』も観てよかった。

 クリスチャン・スレーターは、あの鼻にかかる声がいい。なんかぜんまい仕掛けで声でてるみたいで可愛い。
 ケヴィン・ベーコンはあのブタっ鼻がキュートだけど、クリスチャン・スレーターのちょっとハゲてきてるネズミたいな額から頬骨にかけてのラインが好き。
 肉体は、ケヴィン・ベーコン。クリスチャン・スレーターは、お肉がつきすぎてる。細身だけど筋肉質っていうのがおれの理想。
 それは聞いてないとしても、どちらもとっても魅力的でおれの大好きな俳優さんだ。


 物語の話に戻そうか。
 観終わってから感じたことだけど、あれなら最初のほうはほとんどいらねぇんじゃねぇか?
 よりおもしろくするんだったら、最後のほうの展開でもっと引っ張ったほうがよかったと思うんだけど。死ぬことで初めて気づいたわけだし、その心理描写としては、実は写真を飾ってたぐらいのものにしておいてもよかったんじゃない? っていうより、実際そうでしょ。
 たぶん、もっとテンポよく展開できたよなって感じてしまうのがすごく残念。

 かといってテンポが悪いかっていうと、そうでもなくて、もっとテンポを上げられるっていうことは、こういうアクションありのサスペンスで大事なハラハラドキドキ感の MAX は、もっと上にあったってこと。
 そこがちょっともったいないかなっていう気がする。
 まあ、けっこうドキドキしたんだけどね。

 というのは、ホラー要素が強くなった感が色濃い印象を受けた。
 前作の『インビジブル』では、ホラーといっても、あくまでエグくてグロくて刺激の強い映像を取り入れたっていう部分のほうが強調されてた。

 でも『2』では、心理的な恐怖感を駆り立てるような演出のほうが多かった。
 まま、元特殊部隊っていう設定だけあって、拷問というかそういうシーンでは、むごい場面もあったけど、それはそれであっさりしてたから気持ち悪いとかとは、また別。むしろ、そういうシーンでは、さすがは元特殊部隊で実践経験を重ねてるだけあって、潔ささえ感じた。
 たぶん『1』なら、その執念深さから、もっとネチッこい場面になってたはずなんだな。
 『インビジブル2』は、観る側に想像させるっつーのか? 画面のなかを目で追わせる要素と、全体の映る画面からヒントというか痕跡を見つけさせる要素、そして登場人物と一緒になって探させるっていう要素。そのへんの演出がすごいうまいなと思った。
 だから全体としての緊迫感は、『2』のほうが強かった。

 まあ、緊迫感とか緊張感とあれば、アクションシーン。
 元特殊部隊ともあらば、より重要な要素だったはず。
 でも、なんかイマイチ。
 スピード、空気、ピリピリした緊迫感、サプライズも衝撃も、なんか違和感があった。
 おれはもう、アクションならジャッキー。
 まま、ジャッキーだけじゃなくてリー・リンチェイとか、とにかくもう完全にあっち、香港映画のクンフーバカなもんで、ホントがっつりな肉弾戦が好きなのよ。肉と肉とががっつりぶつかり合って、汗とかヨダレとかが飛び散って、声も血もなかなか出ないような、リアルでスピード感あふれるアクションが大好きなの。
 『かちこみ』とかみたく過剰演出でもいいから、とにかく人間の肉体でがっつりぶつかり合いまくってほしいと……銃とかはもうアクションなんて呼ばないってぐらい。
 ……って言ってもまあ、透明だしな。
 最後はまあ、そのへんの打開策というか回避のための演出としてか、雨でなんとかやってたけどもさ。
 でもそれなら、もっとこう透明だっていうことの特性を生かしたアクションシーンを考えてほしかったかなと。
 完全な透明化に成功したとはいえ、あまりにも高いところから落下したら人間の内部はどう変化するのかとか、殴られたら、その部分の皮下組織、つまりは毛細血管が破裂してみたり、なんかそのへんでスピード感とかを表現してくれて、芸が細かいねぇ~っていうのが観たかった。
 でも薬だと、なんかすっげぇ人間の機能も強化されるっぽいから、難しいかな。

 そしてそして、この映画のなかでも鍵となってる “ 緩和剤 ” の開発に成功したマギー・ダルトン博士!!
 そう、ローラ・レーガン!!
 すっげぇ可愛い……めっちゃ可愛い……
 “ 頭がよくてあの容姿はもう反則的よ ”
 たまぁ~にちょっとカッコよく見えるピーター・ファシネリにぽつりと言ったリサ刑事のあの言葉、まさに!! ありゃたしかに反則だ。
 サラ・ディーキンスも可愛いけど、ローラ・レーガンはもうシャレならん。ホントの勇気見せるから、あなたのロマンティックを僕にください。
 それなのにクリスチャン・スレーターは、そんな彼女より緩和剤を欲しがるわけだ……人の命ってやっぱすげぇ。


 この映画全体をとおしてみると、もうちょっとシナリオを練ってほしかったっていう印象だな。
 前半部分をカットして、中盤から後半にかけてのサスペンスとミステリーみたいな部分をもう少し掘り下げるような内容にしてくれたら、クリスチャン・スレーターを主役に引っ張ってきただけあるって胸を張って言える。
 物語に締まりがないっていうか、メリハリがないっていうか、結局、次回作への “ 期待作 ” っていう感じ。
 って、もう完成されて観たあとのものをああだこうだ言ってもしょうがないので、『インビジブル2』も、『2』は『2』でそれなりには楽しめたかなと。
 クリスチャン・スレーターはたいして観れないけども、時間的にも『ロード・オブ・ザ・リング』みたいにダラダラダラダラ長くもないし、いい感じに観れていい感じ。

 これでもし『インビジブル3』の製作が決定されたとしたら、一番人間らしいというか、あいだをとった中庸の主人公になるわけだ。
 そいつは期待できそうだ。
 “ 人間の透明化 ” っていうメインテーマから観る側がなにを求めるか、そしてなにを想像するかをしっかり考えて、シナリオ練ってね。


タイトル :
『 Hollow Man II 』
監督 :
クラウディオ・ファエ (Claudio Fäh)
製作 :
デヴィッド・ランカスター (David Lancaster)
ヴィッキー・ソーサラン (Vicki Sotheran)
製作総指揮 :
ルーシー・フィッシャー (Lucy Fisher)
ポール・ヴァーホーヴェン (Paul Verhoeven)
ダグラス・ウィック (Douglas Wick)
レイチェル・シェーン (Rachel Shane)
原案 :
ゲイリー・スコット・トンプソン (Gary Scott Thompson)
脚本 :
ジョエル・ソワソン (Joel Soisson)
撮影 :
ピーター・ウンストーフ (Peter Wunstorf)
編集 :
ネイサン・イースターリング (Nathan Easterling)
音楽 :
マーカス・トランプ (Marcus Trumpp)
出演 :
クリスチャン・スレイター (Christian Slater) / マイケル・グリフィン (Michael Griffin)
ピーター・ファシネリ (Peter Facinelli) / フランク・ターナー刑事 (Det. Frank Turner)
ローラ・レーガン (Laura Regan) / マギー・ダルトン博士 (Dr. Maggie Dalton)
デヴィッド・マキルレース (David McIlwraith) / ライズナー博士 (Dr. William Reisner)
ウィリアム・マクドナルド (William MacDonald) / ビショップ大佐 (Col. Gavin Bishop)
サラ・ディーキンス (Sarah Deakins) / リサ・マルチネス刑事 (Det. Lisa Martinez)
ジェシカ・ハーモン (Jessica Harmon) / ヘザー・ダルトン (Heather Dalton)
ソーニャ・サロマ (Sonya Salomaa)

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