『ヴィム・ヴェンダース presents Rain』(Win Wenders presents rain) / ヴィム・ヴェンダース

監督 :
マイケル・メレディス
特に目立つ人たち :
ドン・メレディス
ピーター・フォーク
おれが観たあらすじ :
ありそでなさそな現実ファンタジー。

 端的かつ短絡的、なおかつ現実的に感想を述べよう。

 ──── お金を返して。


『 Rain 』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. 第1回目観賞 : わけわかる。うん、わかる。わかるんだけどねぇ~……

 ん~……

 ん~……

 ん~ん~ん~……

 まず、カテゴリーわけで “ 文学的なノリ ” と大いに迷った。
 でも、英語のほうの意味合いで、こちらに決定。
 大いに監督さん、ヴィム・ヴェンダースの自己満足かなと。


 んまあ、最近よくありがちってやつだな。
 観終わったあと、ソファから立ち上がりながら “ あぁ~、最近ホント多いねぇ~、こういう映画 ” ってぼやいてしまった。
 ホントよく観る。多い。実に多い。多すぎる。もうこういう映画は飽和状態にある。

 一般的にいそうだけどちょっと非現実的な人物像を描いて、そこから日常的によくある風景を切り取りつつ、そこにリアリティーと非リアリティーとのコントラストから “ 人間の尊厳 ” とか “ 本当に大切なもの ” とか “ 真実 ” だのなんだのを観る側に汲みとらせようっていう映画。

 だけど、最近はそういう映画が好まれてるのか、実に多くの賞を受けたりもしてる。
 おれの印象では『クラッシュ』がそうだ。
 ……ん? あれは受賞してないんだっけか?
 まあいいや。

 まあ、いそうでいないっていう登場人物が設定されてるし、だけど現実の世界や街が舞台なわけで、やっぱり観る側は、映画のなかのどこかしらに感情移入もしやすい。主人公的な扱いのキャラクターも一人じゃない。このひとかたまりで一人の主人公っていう感じ。
 マルチエンディングにほど近い構成だな。
 人は受け入れやすいし、それでいて非現実的な出来事もあったりして楽しめる部分も取り入れてある。そこがおもしろい。

 ただ、このヴィム・ヴェンダース監督の『 Rain 』に関しては、最初から最後までが、日記に近いぐらいの日常が淡々と綴られてる。まるで動画で綴る絵日記みたいだ。
 そして、しっとりとしたナレーションが導き、そこからゆるやかに流れてくるジャズ。
 雨に唄えば、雨も唄う。
 演出の効いたドキュメンタリーって言われたら、文句なく “ いいね ” っていう感想を残しただろうと思う。

 この映画全体からイメージすることといえば、そうね……
 100% “ 大人 ” っていう単語だろうな。
 大人って言われる人が好む感じだし、こういう映画を “ 嫌いじゃないね ” とか “ いいね ” ってラジオのパーソナリティーみたくさらっと言えたら、“ 大人だね ” って言われること請け合い。
 
 最近はなに?
 “ 大人志向 ” なのか? “ 背伸び志向 ” ?
 それとも、個々に持つ豊かな感受性志向なのかな。
 ゆったりというか、優雅というか、やさしさというか……退屈というかな。
 それこそブランデーにシャムネコとシルクのガウンで過ごせる人、あるいは憧れる人は、きっといいんじゃないかなと。
 ジャズ・バーで一人でちびちびスコッチとか飲めたり、なぜだかふと一人で夜景が観たくなったり、ちょっと時間ができたから外のカウチで読書とか、なんかそういう一人の静かな時間を楽しめる人が褒める映画なのかな。
 まったりというか、まろやかというか、ほろ苦いというか、大人というか……退屈というかな。

 でも残念ながら、おれは違うのだな。
 一人遊びは大好きだし得意だけど、ジャズを聴くなら、自分の部屋でゆっくり聴きたい。夜景にはたいして感動なんて覚えないし、あえて夜景が観たいって出かけることも、まずない。
 それに読書は、ベッドに限る。
 あごの上まで布団にくるまって、すっげぇ狭いとこで横向きになって多少無理のかかる感じで読む。

 なんだ?
 この “ レイン ” …… きっと珈琲みたいじゃない?


 登場人物については、特に意見も印象もなしかな。
 あまりにも自然すぎて、普通に雨の降りつづく街の景色をただただ眺めてる気分。時にはちょっと徒歩してみたり。
 そこにいる人たちなんて、全然記憶に残らない。

 心に残るのは、DJ の、まさに時雨のような声と、雨に濡れゆく窓のむこう側のようなジャズの調べ。
 淡々と話しかけてるだけなのに、なぜかどこかへと導かれてるような気がしてくるやわらかな声。
 哀愁を漂わせて過去の癒えていない傷をそっと撫でていくようで、まるで雨のように、隠しもせず、洗いもせず、ただ流れてくる。
 癒すことなく、深めることもなく。
 ただ思いださせるだけの旋律。

 ……タチわりぃ。
 このジャズがまた、よりいっそう退屈にさせてるのかなとも思った。
 盛り上がっても、それがまたゆるやかな流れを作るし、ホント一定のリズムと空気を映画全体に吹き込んでる。

 だから ──────── なんだ?

 ジャズもそうだけど、好きな人は大好きだし、なにかしらそこいらあたりである程度の経験とか知識を積んだ人がたどりつく場所っていうか、街角のとあるジャズ・バーだな。
 そうじゃない人にとっては、それもまたその他のなかのただの一つっていう印象しか残さない。それをいいっていう人は、なにがいいのかさっぱりわからない。
 まあ、言ってみれば “ 玄人向き ” っていう表現が一番しっくりくるのかな。


 そう、さっきあえて感じを使ったのは、より雰囲気をだすため。
 観終わったあと、ちょっとひと息ついて自分の好きな飲み方で珈琲を飲んでみると、きっとおれのイメージと印象と伝えたいことがわかってもらえると思うよ。アルコールもちょっと入ってるかな。
 そんな映画。


タイトル :
『 Three Days of Rain 』
監督 :
マイケル・メレディス (Michael Meredith)
提供 :
ヴィム・ヴェンダース (Wim Wenders)
脚本 :
マイケル・メレディス (Michael Meredith)
出演 :
ドン・メレディス (Don Meredith) / ジョーン (Jorn)
ピーター・フォーク (Peter Falk) / ウォルド (Waldo)
エリック・アヴァリ (Erick Avari) / アレックス (Alex)
ライル・ラヴェット (Lyle Lovett) / DJ (Disc Jocky)
ペネロープ・アレン (Penelope Allen) / ヘレン (Helen)
ブライス・ダナー (Blythe Danner) / ベヴァリー (Beverly)
ロバート・キャラダイン (Robert Carradine) / バスの運転手
ヘザー・カフカ (Heather Kafka) / リサ (Lisa)
ジェイソン・パトリック (Jason Patric)
マックス・パーリック (Max Perlich)
ウェイン・ロジャース (Wayne Rogers) / リーマン
ケア・デュリア (Keir Dullea)
マーク・フォイアスタイン (Mark Feuerstein)
マーレ・ケネディ (Merle Kennedy)

コメント着信アリ2

9 de Marzo 2013 a las 12:05 AM

言われればなるほどジャズとコーヒーと「大人」の好む大人の映画でしたね。村上春樹のようで鼻につく人もいるのでしょうね。

松田拓弥 Author Profile Page 30 de Agosto 2013 a las 06:55 AM

梅さん、コメントありがとうございます。
返信すること自体、あまりにひさしぶりすぎて大人になってしまいそうです(笑)

あぁ~、なるほどなるほど。
村上春樹さん・・・・わかります。
観る人を選ぶなら、作る人も選びそうな映画だな、と(笑)

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