『オール・ザ・キングスメン』(All the kings men) / ショーン・ペン

監督 :
スティーヴン・ザイリアン
特に目立つ人たち :
ショーン・ペン
ジュード・ロウ
アンソニー・ホプキンス
ケイト・ウィンスレット
パトリシア・クラークソン
ジェームズ・ガンドルフィーニ
おれが観たあらすじ :
なりあがり。あるいは、たたき上げ。

 この映画の感想をひと言で表現することを無理強いされたなら、こういう具合だろうかな。

 ──── なにもかもがどっちつかず。

『 オール・ザ・キングスメン(All the King's Men) 』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. 第1回目観賞 : もう一回観るべきか否か……迷う。

 ショーン・ペンの手の、なんとむっちりしてること!!
 団子かよってぐらいすっげぇむっちむちで可愛らしいのなんのって!!
 腹はもうえらいことになってたけど、やっぱりショーン・ペンは可愛い。
 しゃべり方も前にも増してモジョモジョしてる感じが、やっぱりソー・キュートなショーン・ペン。なに言ってんのかまったくわからないショーン・ペン。いつまでも変わらないショーン・ペン。
 いつまでもションベン。
 ションベンくさい少年みたいな愛らしさだな。
 大好きっす。

 でも、さすがに政治モノなこの映画では、あの Makes me happy な笑顔がほとんどない。皮肉に歪んで引きつった笑顔ばっかだ。
 それでも魅力的。それが魅力的。
 感情を押し殺したしゃがれ声も、感情むきだしでまくしたてる身振りも、その一挙手一投足の背後には、常に荒波のような迫力がうねってる。
 名実ともに、不動の実力派俳優とは彼のことか。
 『アイ・アム・サム』みたいな無垢な役でも、こういうシリアスな役でも、どんな役でも画になっちまう。
 というより、その役を自分の画にしてしまうんだろうな。それだけの力があるっつーわけだ。
 この映画は、ぶっちゃけ、ショーン・ペンが出てなかったら観てないだろうと思ふ。ジュード・ロウとかケイト・ウィンスレットとかだけじゃ、観てない。
 あ、でも、アンソニー・ホプキンスがいたな……
 やっぱ、なんだかんだで観たかも。

 アンソニー・ホプキンスは、もうさすがとしか言いようがない感じ。
 貫禄が恐ろしい。恐ろしいほどの貫禄を感じる。
 『羊たちの沈黙』で “ 被害 ” ともいえるほどの、あまりにも大きな衝撃を受けたわけですが、この人もなにをやらせてもその貫禄と雰囲気ですべてを飲みこむ。『ハーモニーベイの夜明け』では、夜明けの太陽さながらの奥深さを見せつけてくれたもんだ。
 じいさんだけど、そう感じさせない力強さっつーのか?
 レクター博士のイカレっぷり、優しさも冷徹さも洞察力の鋭さも、その眼力に底が映らない。恐ろしくもあり、安心もする。

 おっと、話が違う。全然違う。
 まあ、素敵。

 そして、ジュード・ロウ。
 なんかイマイチ好きじゃない。イギリスなアクセントが、どうも好きになれない。やっぱ聞き取りづらいからなのかな。
 でも、この人の気品は好きだ。
 ケイト・ウィンスレットは、なんかまだ『タイタニック』のイメージがどうも抜けきらないな。
 気高くお高いお嬢様っていうイメージの役しかやらねぇのか?
 嗚呼、あなたのそういう雰囲気は認めるよ。ジュード・ロウ以上の気品が漂ってる。“ 品 ” っていうのは、生まれもってのものなんだなって痛感する。
 でも個人的には、ジム・キャリーと共演した『エターナル・サンシャイン』でのケイト・ウィンスレットが一番好きだな。

 また話がそれた。
 あと、またまた『24』のアーロンを見かけた。
 「オアッ!?」って思わず声出た。また
 この人、『24』で観てからというもの、ホントいろんなのに出てくるなぁ~、おい。しかもすっげぇ端役で。
 この人の雰囲気というか、この人から出てる空気感が『24』で観てから好きになってしまったのでね。たぶん敏感に反応するようになったんだな。
 別に目立つわけじゃないけど、なんかこの人の出す空気は独特なんだな、たぶん。注意して観てるわけじゃないのに、なぜかわかる。しかも、一発ですぐわかるんじゃなくて、最初は “ ん? ” っていう感じから、画面に顔近づけて観て、“ あっ、アーロン!! ” ってなる。
 じわじわタイプだ。


 って、どうかな、これ……
 先に登場人物の話したらキリねぇな。終わらねぇ。
 もうやめた。
 こんなん『オーシャンズ13』とか『LOVERS』とか『英雄』の感想でもこんな書き方してたら、え~らいことになるぜよ。ジャッキー映画なんつったらもう、最近じゃジャッキーファミリーのほうの知識も増えてきてるから、あり得ないけど “ 字数オーバーです ” とか言われそうだ。
 なんかこう……もっとサクサクッと書けねぇもんか、おれ。
 効率的かつポイントは逃さないような書き方ねぇか?

 ……ねぇか。


 ん~……なんか、最初っから最後まで、ずぅ~っと映画仕立てのドキュメンタリーみたい。
 観てて “ おもしろい ” とは感じなかったな。
 おれが映画観る上で、ぶっちゃけ、それ以外に感想なんて実際にはない。それがすべてでもある。
 芝居のうまいヘタなんて、クソっ食らえだ。
 おもしろけりゃ、それでいい。おもしろくなけりゃ、それも、それはそれでいい。
 もういい。

 話が入り組んでるからなのか、人間関係が複雑なのか、昔のさらに昔のことが関係してたり、出てくる人たちの因果が交錯しまくってるからなのか、余計な説明というか展開を示唆するようなセリフがほとんど出てこないからなのか、会話がいちいち比喩表現というか、なにかに例えたような物言いだからなのか、内容もイマイチよくわからなかった。
 実際、観終わってから、“ もっかい観ようかな ” と思ったぐらい。観たことないけど、シェイクスピアの劇を見てるような感覚。

 というのは、やっぱり昔っていう時代背景からなのか、なんともセリフがまわりくどい感じなんだな。シェイクスピアの言いまわしも、なんかいちいち “ それはまるで XX のようで、XX のような…… ” っていう表現だったっていう記憶があるわけだ。それとダブッた。
 やっぱり映画だなっていう気がするのは、おれも知ってる有名俳優さんが勢ぞろいの、セリフとロケーションとセットがあって、小ぎれいでなんか古くさい現代的な衣装を着、それらがあくまでテレビのなかに映ってるからっていうだけ。
 まあ、気づいてみれば、昔やった映画のリメイク版らしいじゃない。
 そりゃしゃ~ないわな。
 原作の小説も大昔にあるらしい。

 この映画とかぶりにかぶりまくったのは、『マイケル・コリンズ』って映画。
 こちらは実在した人のその半生なのか人生なのかよくわからんけど、それを映画化したフィルム。
 おつゆ飛ばしながらの熱い演説も、時代的な背景も、悪に立ち向かう善っていう設定も、なんかなにもかもが重なった。そちらもあまりおもしろい内容じゃなかった。
 そういえば『オール・ザ・キングスメン』のなかで、ショーン・ペンが熱弁を揮うシーンで、その影を背後にそびえる建物の壁にダーンと大きく映すという手法が用いられていた。
 それは昔、ヒトラーが “ 実物以上の迫力を出す ” という心理作用が狙いで、自分の演説中に重低音を BGM として流していたらしいという豆知識に結びついた。
 ……だからなんだ?
 なんかやっぱり印象に残ってる。

 『オール・ザ・キングスメン』の展開は、『 L.A.コンフィデンシャル 』な感じ。原作の小説があったみたい。
 えらい長いけど、話はわかったし、小気味いい按配だった。ラッセル・クロウはあれで有名になったし、主演のガイ・ピアースって若造を好きになって、そのあとの『メメント』も観た。ガイ・ピアースは今も好きだ。

 おれはこの映画の話がしたい!! この映画の話だけがしたいんだ!!


 まま、観た感じ、やっぱなんか文学的なのかな。
 本で読んだら、また違うんだろうな。もうちょっと解説もつくだろうし。
 でもまあ、あの結末を観れば、なんとなく全体が理解できたような気になれるから、良しってなる。それもまた不思議だけど、良しとする。

 ただ、なにがミステリーで謎なのかがわからない。
 だれが本当の仕掛け人だったのか。仕掛け人なんて存在しなかったのか。だれが鍵をにぎっていたのか。
 最終的には、あれらすべてはだれかによって、すべて計算された結末だったのか。
 ……ショーン・ペンの言葉が、あまりにも意味深なものが多かった。
 そして最後のカットインな。
 あれは一体なにを示唆してるんだ?

善は、悪からも生まれる。

 そんな名言が出てくるけど、おれとしては、この映画を観終わって感じたのは、違う。

 ──── 善を殺すのは、善である。


タイトル :
『 All the King's Men 』
原作 :
ロバート・ペン・ウォーレン (Robert Penn Warren)
監督 :
スティーヴン・ザイリアン (Steven Zaillian)
製作 :
ケン・レンバーガー (Ken Lemberger)
マイク・メダヴォイ (Mike Medavoy)
アーノルド・メッサー (Arnold Messer)
スティーヴン・ザイリアン (Steven Zaillian)
製作総指揮 :
アンドレアス・グロッシュ (Andreas Grosch)
マイケル・ハウスマン (Michael Hausman)
ライアン・カヴァノー (Ryan Kavanaugh)
トッド・フィリップス (Todd Phillips)
アンドレアス・シュミット (Andreas Schmid)
ジェームズ・カーヴィル (James Carville)
デヴィッド・スウェイツ (David Thwaites)
脚本 :
スティーヴン・ザイリアン (Steven Zaillian)
撮影 :
パヴェル・エデルマン (Pawel Edelman)
衣装デザイン :
マリット・アレン (Marit Allen)
編集 :
ウェイン・ワーマン (Wayne Wahrman)
音楽 :
ジェームズ・ホーナー (James Horner)
出演 :
ショーン・ペン (Sean Penn) / ウィリー・スターク (Willie Stark)
ジュード・ロウ (Jude Law) / ジャック・バーデン (Jack Burden)
アンソニー・ホプキンス (Anthony Hopkins) / アーウィン判事 (Judge Irwin)
ケイト・ウィンスレット (Kate Winslet) / アン・スタントン (Anne Stanton)
マーク・ラファロ (Mark Ruffalo) / アダム・スタントン (Adam Stanton)
パトリシア・クラークソン (Patricia Clarkson) / セイディ・バーク (Sadie Burke)
ジェームズ・ガンドルフィーニ (James Gandolfini) / タイニー・ダフィ (Tiny Duffy)
ジャッキー・アール・ヘイリー (Jackie Earle Haley) / ウィリー・スタークの運転手 (Sugar Boy)
キャシー・ベイカー (Kathy Baker) / ジャックの母 [ と同時に XX ] (Mrs. Burden)
タリア・バルサム (Talia Balsam) / ウィリー・スタークの妻 (Lucy Stark)
トラヴィス・M・シャンパーニュ (Travis M. Champagne) / トム・スターク (Tom Stark)
フレデリック・F・フォレスト (Frederic F. Forrest) / ウィリー・スタークの父親 (Willie's Father)
ケヴィン・ダン (Kevin Dunn) / アレックス (Alex)
トム・マッカーシー (Tom McCarthy) / Editor
グレン・モーシャワー (Glenn Morshower) / 署長 (Commissioner)
マイケル・キャヴァノー (Michael Cavanaugh) / ペイトン氏 (Mrs. Peyton)

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