『ソウ3』(SAW 3) / トビン・ベル

監督 :
ダーレン・リン・バウズマン
特に目立つ人たち :
トビン・ベル
ショウニー・スミス
バハー・スーメク
アンガス・マクファーデン
おれが観たあらすじ :
サイコな状況のなかに、まともな人間たちが一同に集うと、結果は、やられる。

 おれの一行感想 ──── 相変わらずマーベラス。

『 SAW 3 』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. 第1回目観賞 : ぜひ、アマンダとヤリたい!!

 相変わらずおもしろい。
 やっぱり、おもしろい。

 おれは基本的に、怖いのが嫌いだ。大嫌い。
 たいがい観ない。だいたい≪ゲオ≫でも素通りだし、避けて通るし、でも観たところで印象が薄い。予告編とかでどぉ~~~~しても観たいっていう衝動に駆られない限り、ホラーっつージャンルは手にしない。
 ちっちゃいころ、かのキョンシーですら夜はまったく眠れなくなり、お父さんの布団に入らせてもらったりしたもんだ。これから寝ようとしてるのに、息を止めたりもした。

 しかしながらこの『SAW』シリーズ。このシリーズに限っては、違う。
 怖いとかキモいとかいうんじゃなくて、ただ純粋に、本当に、生粋の娯楽映画だなと感じる。観るたびに感じる。1も2も、観れば観るほど、関心すらする。
 予告編とか観る限り、やっぱどうしても最初はスプラッター的な印象を受ける。実際受けた。
 でもなんでかなぁ~……おれの興味をくすぐってやまない単語 “ ゲーム ” っていう言葉には勝てなかった。展開はさることながら、シナリオ、そしてその裏側にもそういう心理的な作用が盛り込まれてる感じがするじゃない。
 その言葉を使われる限り、どんなに怖くても、どんなにキモくても、とりあえず観ておかないとならない。

 そしてもうシリーズ3作目だ。
 よりいっそう、そのおもしろさに磨きがかかったかなと思った。

 というのは、今回は人間関係が複雑になって、より描写がえぐい部分に入り込んでたから。しかもおれの大好きな部分な感じだった。
 まあ、最近じゃありがちだけど、“ 『1』は結局、序章にすぎなかった ” っていう展開。
 大好きなのは、人間の心のなかのすっげぇグレーな部分を、さらにほじくり返すような描写。

 おれ思うに、こういう映画とかドラマって、“ こういうエンディングにしたい ” っていうラストから脚本を書いていけば、全体としてはなんでもありな風情で構成できる。
 それは同時に、どっかでちょっと踏み外せば、思いっきし退屈なものにもなりかねない。
 でもこの『 SAW 』シリーズは、そのへんががっつり巧みだな。この『 SAW 3 』では、映像マジックとでもいいましょうか、明確な狙いが見えるというか、やっぱり人間には先入観っていうものがあって、それがあると、けっこうな割合でそこに支配されてしまう。
 そこを突いてる。
 正直、やられた。なんかひさびさだな、この感覚。


 おれが受けた印象では、善と悪が、あまりにも曖昧。
 厳密には、なにが悪なのか、だれが一番の悪なのか。
 それは果たして、本当に善なのか。
 物事の判断基準としての善悪に勝るものはなにか。善悪以上に人間を突き動かす感情とはなにか。
 最終的には、“ 悪 ” に順位なんてないってこと。

 そして忍耐と衝動。
 どういう場面で衝動的な行動に出るか。
 人間はどこまで自分の忍耐力に屈しないで我慢できるか。
 その限界とは、一体全体どこなのか。
 そんな他人には知る由もないことが、赤裸々に放出される。

 人間にとってどこまでが過去となって生きているのか。
 未来とはなにか。どこにあるのか。
 人間は、どこまでそれまでに築き上げてきた自分の過去や経験にしがみついていられるのか。
 そして、どこまでそこにしがみつけるのか。

 人間にとっての “ 極限 ” とはなにか。
 真に人間を “ 追いつめる ” とは、どういうことなのか。

 あのなかで、本当にイカレてるのは、だれだ?

 人間の心理における正義っていうものの曖昧さには、ホント愕然となる。

 “ ゲーム ” って、本当におもしろい。
 人間を “ 試す ” って、本当に楽しい。

 ホントこの映画は、おれの実験癖にも火を燈す数少ない作品の筆頭。


 アマンダ、かわいいなぁ~……
 あの衝動的な感じといい、感情むきだしな感じといい、顔もいいし、なんかすっげぇ深いところで病んでる感じがたまんねぇ。
 ああいう女にもしどっかで出逢えたなら、激烈アニマリーなファックでエキサイトしちゃいたい。しちゃうよな。やっぱ、しちゃうよな……いや、しちゃうような人であってほしい。
 やっぱなかなかいねぇよな、ああいう人って。
 他人に対してあそこまで露骨に自分のなかの攻撃的な感情を表現できる人なんざ、男でもまずいない。女ならなおさらだな。
 って言っても、1970年生まれらしいじゃない!!
 8つ上……37?? マジ????
 ええ、そんなの関係なく、素直に、貴女が欲しいです……

 ジグソウってあのじじいには、なんか同じにおいを感じる ──── ありゃヲタクだ。ただのヲタクだ。
 あくまで “ ゲーム ” って割り切って、試すだけ。律儀にルールなんてもんまで作って、自分もそれに従ってる。
 で、少なからず期待もしてる。シチュエーションを練っては、その結果も思い描いてるわけだ。
 でも、そこに自分の “ 欲求 ” までは乗せてない。
 だから自分の期待がはずれた結果になったとしても、その欲求不満をぶつけたりしないわけだ。ただ落胆するだけ。
 どちらに転んでもそれを認めて、受け入れる。責めるんじゃなくて、指摘するのと事実を伝えるだけなんだな。
 そこがジグソウが、なんか人間っぽくないって感じるところであり、おれのダメなところなわけだな。

 ジグソウは、たぶんあいつバカだ。
 なんでも知ってて、いつもすべてを掌の上で転がしてるだけっぽいけども、ただの慣れと経験を積んでるってだけだな。
 で、ただヲタクなだけ。人間ヲタク。人間心理ヲタク。
 しかも、闇……
 と言いたいところなんだけど、それだけじゃない。人間の心理っていうもの全般だね。
 利用したり道具みたいに見てるっていうのが表に出てくるけど、それとは逆の心理も見てなきゃ、それを利用するなんてことはできない。
 人間心理のあらゆる面。
 ジグソウの表面はとっても浅いけど、奥深い。なにかしら深手を負ってんのかな。

 ケリーは、なんか『 CSI 』に出てるときのほうが好きだな。あっちのほうがシリアスな表情と、ヌケた表情とでメリハリがあって、すっげぇ画面のなかで生きてる。
 『 SAW 3 』ではなんかズビャッとなっちゃったからなぁ~……どうせなら乳首ぐらい見せてほしかった。
 でもおれ、こういう感じの顔が好きな顔の雛形としてあるんだろうな、やっぱ。

 あとほかのキャストの人は、なんかイマイチ冴えないな。パッとしねぇ。
 ジェフもリンも、画面にはいっぱい出てきてたけど、なんか “ つなぎ ” っていう感じだったもんな。
 って、あのままでいくと、『 SAW 4 』はどうなんのよ?
 だいじょぶなのか?


 あとはそうねぇ~……
 なんか回を追うごとにグロい描写もエスカレートしてる感が強い。
 なんかこのままエスカレートして、エレベーターにまでなっちゃったら、『4』には期待できないかなぁ~なんて先入観を抱いてしまう。
 そんな演出いらねぇのに……
 別にわざわざ腸とか脳みそとか、ウジ虫がへばりついてる生首ピッグとか、そんなの出さなくたって充分おもしれぇよ?
 ただ単に “ ホラー ” っていうジャンルがほしくて、そこに張りつくホラー層も取り込んでおきたいからっていう策なのか?
 ちょ~っと『4』は心配だなぁ~……
 “ ロマンス ” な要素も取り入れてみるって初の試みはどうよ?
 さすがに無理? ねえ、無理?

 ……って、もう『 SAW 4 』出てたね。


 人間は最終的に、過去や未来には生きれない。その人間には、その今がすべてなのである。

 そう突きつけられた気がした。

 過去とか未来とか、やっぱなんだかんだで断片的にしか思い描けないものっつーのは、人間にとっては弱くてもろい。
 過去のつらさも未来に予測させるそれも、実際には、それをどんなに突きつけたところで、たいしたことじゃない。
 なにが一番つらいかってのは、その過程でしかない。今が今にあるための今っていう瞬間の連続。それが一番、たぶん残酷。
 そこにいたるプロセス、次の今、次の今っていうのをまざまざと見せつけることこそ、もっとも人間を衝動的かつ本能的に突き動かすものなんだなと……


 結局、あんなかでだれが一番イカレてるか?

 ──── みんな、まともだ。


 とにかく、ホントおもしれぇ。


タイトル :
『 Saw III 』
原案 :
ジェームズ・ワン (James Wan)
リー・ワネル (Leigh Whannell)
監督 :
ダーレン・リン・バウズマン (Darren Lynn Bousman)
製作 :
マーク・バーグ (Mark Burg)
オーレン・クールズ (Oren Koules)
グレッグ・ホフマン (Gregg Hoffman)
製作総指揮 :
ジェームズ・ワン (James Wan)
リー・ワネル (Leigh Whannell)
ピーター・ブロック (Peter Block)
ステイシー・テストロ (Stacey Testro)
ジェイソン・コンスタンティン (Jason Constantine)
ダニエル・ジェイソン・ヘフナー (Daniel Jason Heffner)
脚本 :
リー・ワネル (Leigh Whannell)
撮影 :
デヴィッド・A・アームストロング (David A. Armstrong)
衣装デザイン :
アレックス・カヴァナー (Alex Kavanagh)
編集 :
ケヴィン・グルタート (Kevin Greutert)
音楽 :
チャーリー・クロウザー (Charlie Clouser)
出演 :
トビン・ベル (Tobin Bell) / ジグソウ (Jigsaw / John)
ショウニー・スミス (Shawnee Smith) / アマンダ (Amanda)
アンガス・マクファーデン (Angus Macfadyen) / ジェフ (Jeff)
バハー・スーメク (Bahar Soomekh) / リン・デンロン医師 (Dr. Lynn Denlon)
ディナ・メイヤー (Dina Meyer) / ケリー (Kerry)
J・ラローズ (J. LaRose) / トロイ (Troy)
デブラ・リン・マッケイブ (Debra McCabe) / ダニカ (Debra Lynne McCabe)
バリー・フラットマン (Barry Flatman) / ハルディン判事 (Judge Halden)
エムポー・クワホー (Mpho Koaho) / ティム (Tim)
ドニー・ウォールバーグ (Donnie Wahlberg) / エリック・マシューズ (Eric Matthews)
リリク・ベント (Lyriq Bent) / リグ (Rigg)
キム・ロバーツ (Kim Roberts) / デボラ (Deborah)
コスタス・マンディロア (Costas Mandylor) / Forensic Hoffman
ベッツィ・ラッセル (Betsy Russell) / ジル (Jill)
アラン・ヴァン・スプラング (Alan Van Sprang) / クリス (Chris)

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