『ソウ4』(SAW IV) / トビン・ベル

監督 :
ダーレン・リン・バウズマン
特に目立つ人たち :
トビン・ベル
おれが観たあらすじ :
『ソウ3』の続き。

 ≪ゲオ≫の80円レンタルと違って、≪ TSUTAYA ≫の100円レンタルの日は、旧作だけにとどまらず準新作もその対象となる。
 ≪ゲオ≫で借りれなかった準新作、全部借りちゃった!!

 やい、ゲオ!!
 準新作も対象にしてよ!!

『ソウ4』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. ジグソウ死なず。

 今回はちょっと、人間の深層心理っていうものの描写が甘くなってた感が強く、あまり “ おもしれぇ~!! ” とは感じなかったな。

──── ジグソウ死す。

 って、パッケージにもオフィシャルサイトでもいたるところで、なにかにつけてその話題性たっぷり感な “ そこにすべてが収束されてる ” みたいな含みをにおわせるような文句が踊ってたけど、突き詰めまくってまくってえぐって余計なの排除してみたら、結局はその響きに踊らされてるだけって感じ。
 観る側も作る側も。


 1からずっとシリーズ全作観てたらやっぱ、そりゃその言葉は衝撃でしょう。
 観るでしょう。
 ただでさえ話題になってるのに、ここへきて、それまで人様の生死と裁きを下すような神のごとき偏屈ジジイ “ ジグソウ ” その張本人の “ 死 ” を持ってくるんだから。
 イカレたような超絶理性人の過去がそれなりに明るみになって、またちょっと違ったジグソウの姿を垣間見ることができた。
 理屈抜きのジグソウとでも言いましょうか。
 なんかちょっと可愛いジグソウの姿はよかったっす。


 この『ソウ』シリーズを通した映画のキーは、なにもジグソウじゃないと思うわけ。
 全人類の “ モラル ” を問うっていうメッセージだと見えるのよ。

 たしかに、映画が盛り上がってくれば盛り上がってくるほど、ジグソウの理屈ばかりが並ぶけども、でもそれってちょっと心をオープンにしてみれば、“ あたり前のこと ” ばかりなんだな。
 ただその表現が、ジグソウの場合は極端というか両極っていうだけであって、感じ方はいたってノーマル。ドノーマル。
 なんら違和感はない。むしろ爽快。
 この映画の流れで “ 爽快 ” なんて単語を使うと、8割以上の誤解を招きそうだけど、あえて使おう。
 実に気持ちがいい。

 この映画を観て、ジグソウの理屈を目にし、耳にするほど、自分のなかでの “ 善悪 ” 、言い換えると、“ モラル ” っつーのが揺らぐ。
 自分は常識的で良識にもとづいて日々の生活を送っているはずが、ジグソウの極端な裁きにも共感してしまっている自分を見せつけられる。
 過去、現在、未来を問わず、罪というか、一般的な常識の範疇からそれた行為を抱く者には、それなりの裁きがくだって当然。
 他人の命を奪った者は、奪われてしかるべきである。
 カルマ? カーマ? 英語では “ Karma ” らしい。
 業って意味だっけ?
 “ 報い ” だな。

 しかしながらジグソウの理屈というか屁理屈というか、正義というか、言ってしまえばジグソウの理想郷であり願いってのは、その裏側で似たような世界を築いてる。

 ──── “ 許す ” ということ。

 英語で言えば “ GIVE ” なのか?
 目には目をの極限状態におかれている状況においてでも、それを受け入れることができるか。
 相手を許せるか。
 そして、いずれにせよ決断を下す自分自身を許せるか。

 そういった深層心理をえぐりだすような状況と、表面だけをなぞるような利己的な人間たちの真相心理。
 そこにこの『ソウ』シリーズのおもしろさがあった。

 理性と本能。

 神を作りだしたのが人間なら、神になりえるのもまだ人間でしかないということ。
 神が理性で、人間が本能。

 人間の過去とか性格とか環境とかを考慮して、考えて考えて考え抜いた結果、その人間に裁きを下すなんて芸当は、人間にしかできない。
 裁きとして人の命を奪ってもいいなんてのはもう、“ 神の領域 ” であると人は言う。

 ジグソウは神でもなければ天才でもない。同じ人間だ。
 それこそが衝撃の事実。

 そしてそれが自分自身のなかにも見えるという罪と罰と罪悪感と優越感。


 でもこちら『ソウ4』では、そのへんが薄れてしまってる感じのだな。
 実に残念。
 なんともミステリー色が濃くなってるかなと。謎解きというか、謎をたどるアドベンチャーという感覚。インテリジェンスなインディー・ジョーンズか?

頭蓋骨切開して脳ミソぱっくりの画像はなく、自分で抽出するのも不可能なので、その後のジグソウの写真があったからそれ。 ブチューとか “ ブシャーッ!! ” とかグチャ~とかいうエグくてグロい残虐性の描写も、ジグソウの人間性が強調された分、『ソウ4』ではいくぶん優しくなってる気がする。
 専門的というか、医学的な印象。やりたい放題やるっていうイカレた感じはミジンコもない。
 頭蓋骨ば電ノコで切開して、カパッとやって中身の脳ミソをゴポッて取り出そうと、なんらグロくない。色彩といい、コントラストといい、むしろアート。
 まあ、それがしょっぱなの導入というのはさすがにインパクト特大だけど、同じぐらいアーティスティックに描かれてた。
 美しかったな、ジグソウの脳ミソは。


 映画の展開がエスカレートして物語が盛り上がるほど、どんどん冷静になっていくような今までの不思議な凄みは薄れた。
 グロテスクさと、それまでジグソウが築いてきた理屈の残滓に、どきどきわくわくアドベンチャーを加えた “ ジグソウアルバム ” を見せられてるって感じ。
 ただの娯楽で、通過点。

 まま、『ソウ2』を観た時点でなんとなく感じたけど、終わらないよ、この映画。
 『ソウ4』も次の展開への “ つなぎ ” としか思えない。

 っつーか、死んでねぇもん ──── ジグソウ。


 しかし1からのジグソウ役だったトビン・ベルって、すげぇな。
 お見事としか言いようがない。雰囲気ありすぎ。
 あのクシャクシャにしわがれた声といい、若さと老いも絶妙で、見た目から “ キレたら怖そう ” っていう頭脳明晰な感じがにじみ出てるたり、まさにジグソウ。
 絶対キレなそうな感じも、またジグソウ。
 マジでかっけぇ。

 でもって、こちらのトビン・ベル、気づけば『エイリアス/二重スパイの女』でも “ ゲスト出演 ” されてた。名前は忘れたけど、たしか SD-6 の曲者的な感じだったはず。二周目の観賞中に気づく。
 たまたまそのちょっと前に『ソウ4』を観てたもんだから、あの特徴的な声ですぐわかった。『ソウ3』はもうずいぶん前だったから、一周目の観賞では気づけず。
 ん~ん、イカす。


 偶数って、そういう作り方するのかな、ソウ・チームさんたちは。
 『ソウ5』出るでしょう。絶対出すでしょう。
 楽しみだ。
 なんだ? なによ。どうすんだ?

ジグソウはすべての序章にすぎなかった ──── ジグソウを超えるジグソウ

 お決まりだけど、次のメッセージはそんなあたりか?
 観るぜ!! そんなん、絶対観るぜ!!

 でも、次でコケたら、もうジグソウ人気も収束に向かうだろうなぁ~……
 それも含めて楽しみだよ。

 まあ、ジグソウは生粋の常識人な感じだったから、今度はもっと本気でイカレたのがいい。理性を凌駕する本能タイプに期待。
 この手の話なら、むしろ、どこでどういうふうに終わらせるかが楽しみといったところ。

 ──── ジグソウは、永遠に不滅です。

キャスト詳細情報

原題 :
『 Saw IV 』
監督 :
ダーレン・リン・バウズマン (Darren Lynn Bousman)
製作 :
マーク・バーグ (Mark Burg)
オーレン・クールズ (Oren Koules)
製作総指揮 :
ダニエル・J・ヘフナー (Daniel J. Heffner)
原案 :
トーマス・フェントン (Thomas Fenton)
パトリック・メルトン (Patrick Melton)
マーカス・ダンスタン (Marcus Dunstan)
脚本 :
パトリック・メルトン (Patrick Melton)
マーカス・ダンスタン (Marcus Dunstan)
撮影 :
デヴィッド・アームストロング (David A. Armstrong)
衣装デザイン :
アレックス・カヴァナー (Alex Kavanagh)
編集 :
ブレット・サリヴァン (Brett Sullivan)
ダイアン・ブランジェス (Diane Brunjes)
出演 :
トビン・ベル (Tobin Bell) / ジグソウ (Jigsaw / John)
スコット・パターソン (Scott Patterson) / ストラム捜査官 (Agent Strahm)
ベッツィ・ラッセル (Betsy Russell) / ジル (Jill)
コスタス・マンディロア (Costas Mandylor) / ホフマン刑事 (Hoffman)
リリク・ベント (Lyriq Bent) / リッグ刑事 (Rigg)
アシーナ・カーカニス (Athena Karkanis) / ペレーズ捜査官 (Agent Perez)
ジャスティン・ルイス (Justin Louis)
サイモン・レイノルズ (Simon Reynolds)
マイク・リアルバ (Mike Realba)
マーティ・アダムズ (Marty Adams)
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