『クィーン』(THE QUEEN) / ヘレン・ミレン

監督 :
スティーヴン・フリアーズ
特に目立つ人たち :
ヘレン・ミレン
マイケル・シーン
アレックス・ジェニングス
おれが観たあらすじ :
威厳と尊厳のはざまで。

 先日の地震のあと、ディナータイム中と寝るまでに時間があったので。
 案外地震の揺れは大きかったけど、思いのほかすぐおさまってくれてよかった。煙草とケータイだけ持って外に非難しようと思って立ち上がったところで、止まった。

 この映画では、心が揺れた。

『クィーン』観賞履歴 & 感想のまとめ。

  1. 第1回目観賞 :
    その日、涙を見せなかった人が、ここにもう一人いる ──── テレビの前でかたまった。

 そうねぇ~……
 なんかもう、がんばってがんばって、なおがんばって見てみても、イギリスの王室が総力を挙げてこさえた自己憐憫と弁護の映画って感じ。
 当時、国民からの痛烈な批判にも完全に口を閉ざした女王を弁護するようなストーリーテリング。ブレアさんまで引っ張りだしてきてる。
 つらかったろうなぁ~、淋しかっただろうなぁ~、不安だったろうなぁ~。
 いやぁ~、がんばったなぁ~、英国。


 おれもやっぱりダイアナ妃が大好きだった。
 たっぷりとした髪の毛と、均整のとれた顔立ち、それでいて気取らない笑顔。なにより品があった。
 プリンセスだからボランティアとは言えないのかもしれないけど、そういうことに積極的っていうだけで、ものすごく印象が違う。細すぎる子供を腕に抱き、もうひとつの腕でほかの子供たちと握手を交わし、頭を撫で、抱き寄せるんだ。
 やっぱりあの人は特別なオーラ出してたよな、ホント。
 福祉とか奉仕とか、なんかすっげぇ庶民的であり高貴であり、それでいてあったかい感じのする人だった。
 イメージでは……
 そう、イメージでは。


 いや、実際、この映画が実際なんだろうなとも思う。
 まま、あくまでもこれは映画だし、やっぱり脚本ていうのが存在するわけで、どこがどういうふうに脚色されてるのかな。だれの視点で、だれにとって都合がよくて、だれにとって都合悪く、だれに向けたメッセージなのか。
 ただの事実を追うドキュメンタリーとは明らかに違う。

 人間には裏と表っつーのがあるし、ましてや公人であり、超を超えた有名人なわけだ。プライバシーなんて無視される。
 にも関わらず、カメラや新聞、雑誌、いろんなメディアの前でも大胆な言動が多かった。

 それってどういうことか?

 たぶんパッと見、いや、それを見る側にしたら “ 表裏のない人 ” と映る。
 でもさらにその裏を返せば、“ 裏の顔 ” を隠すのには絶好のやり方とも言える。
 もう一つの顔を隠すには、一般的にははばかられるような言動を堂々とすることによってのみ可能。見せられるダメな顔、それを出していれば、また別の “ 裏 ” を隠せる。
 つまり、三つの顔を持てばいい。
 でも人間だ。たかが三つの顔じゃ不十分だろう。
 家族と友達と恋人とで、みんながみんなまったく印象も言われることも違うようなもんだ。

 そうだ ──── 裏を返せば、必ずしもそれが表とは限らない。


 でも英国の王室にとっては、ダイアナ妃のそこが実に都合悪かったわけだな。
 家族でもなけりゃ友達でもなく、完全に気心知れた間柄ってわけでもない。
 地位と名誉と立場があって、そこになおかつ人間的な愛情も介在する。
 いやはや、なんとも複雑な環境だ。

 王子の浮気というか不倫というか、男として、人間としてのだらしなさもあったろう。
 そうとう病んでたらしい。過食症という摂食障害だったらしい。
 食は人間を作るというわけで、そこに障害を持てば、やっぱり人間、内側から壊れていく。
 でも、きっとそれ以上に不眠症だったんじゃないか?

 前例がない。当然だ。
 交通事故によるプリンセスの死。不慮。不意。
 そんなもん王様とて動揺して当然。最高の前に最低でもある。最強であり、弱でもある。
 一人の人間だ。
 国民との関係があり、王室としての威厳もいる。
 娘や妻、家族に嫌われるのは嫌だけど、威厳がなくなってしまうのも困るお父さんだ。

 まあ、個人的には、やっぱりなんらかの陰謀だったのかなと……

 しかしながら、おれにとってはいたってシンプル。

 おれもダイアナ妃が大好きだ ──────── !!!!!!!!
 子供たちに手をさしのべられる大人が大好きなんだ ──────── !!!!!!!!
 自分だって強くはないけど、強がりながらも自分の胸に抱き寄せることのできる強くなろうっていう人が大好きなんだ ──────── !!!!!!!!
 そして、おれもそうありたいんだ ──────── !!


 キャストのお話をすれば、小気味よくイヤなやつの役でジェームズ・クロムウェルが出てる。殿下だよ、殿下。
 なにが?
 女王の旦那って、殿下っていう肩書きなの?
 王様じゃ~ないんだな。あくまで王は一人ってことか。
 特にこれといった特徴のある役どころでも、重要なシーンがあるわけでもないけども、やっぱり嬉しい。『24』では、ジャックのお父さん役でも出てたな、そういえば。
 たいがいヤなやつか、頭のおかしな役どころで出てくる鼻の長いおじいちゃん。

the-queen-Helen-Mirren01.jpg そして主演のヘレン・ミレン……どうやらこの映画で大絶賛されて、ものすごい数の最優秀主演女優賞を受賞したらしい。
 それはいい。
 ──── おれ、あの人になら騙されてもいい。
 二番目でも三番目でもいい。
 熟女の魅力ムンムンだよ。美麗かつチャーミング。
 62歳ごろでこの麗しさはねぇだろう。自然の摂理である時間、年齢の連なりをバカにしてる。反則も反則。レッドカード2枚で、またフィールドに戻ってきてほしいぐらいだ。

the-queen-Helen-Mirren03.jpg いや、あまりに素敵な年のとり方をしてるって言うべきだな。
 なんなんです?
 お年を召されても、こんな大胆に胸元を開けるなんざぁ~、アータ……
 いねぇだろ?
 むしろ、こんなこと日本でしたら「いい年して……」なんて妬みのぼやきが聞けそうなもんだなァ~、オイ!! 恥を知れ、恥を!!
 美しさに執着する女性はとっても魅力的だけども、人のそれを妬む女は、それ以上に醜くなる。
 美しさを保つ秘訣は、自分に自信を持つことからです。

the-queen-Helen-Mirren02.jpg 嗚呼、なんと美しいのでしょう……嗚呼、なんと魅力的なのでしょう……円熟の魅力。角が落ちて円くなった魅力。
 セックスだってできるだろうし、したいとも思える。
 ゆっくりと味わうように出し入れしてるとき、心から「綺麗だよ」って囁ける。

 人の魅力に年なんて関係ねぇんだよ。
 やっぱり若いほうがいいとか年寄りはダメだとか、人間の魅力ってそういうことじゃねぇんだよ。

 そう、そこは、この映画のなか全体にも見れることだ。

世界中が泣いたその日、たった一人涙を見せなかった人がいた

 人から人への優しさや思いやり、あたたかさや尊厳、一人の人間を構成するすべて、そして人と人とのつながりから生まれるあらゆるすべてが、言葉やしぐさからにじみ出てた。
 世界中が動揺するほどのなかにあっても、それを一つの事実として冷静に受け止めなければならないという強さ。

 世界中が涙したダイアナ妃の死という筆舌に尽くしがたい痛みと引き換えに、これまた筆舌に尽くしがたいとっても素晴らしい映画の新たな誕生だ。

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キャスト詳細情報

タイトル :
『 The Queen 』
監督 :
スティーヴン・フリアーズ (Stephen Frears)
製作 :
アンディ・ハリース (Andy Harries)
クリスティーン・ランガン (Christine Langan)
トレイシー・シーウォード (Tracey Seaward)
製作総指揮 :
フランソワ・イヴェルネル (François Ivernel)
キャメロン・マクラッケン (Cameron McCracken)
スコット・ルーディン (Scott Rudin)
脚本 :
ピーター・モーガン (Peter Morgan)
撮影 :
アフォンソ・ビアト (Affonso Beato)
衣装デザイン :
コンソラータ・ボイル (Consolata Boyle)
編集 :
ルチア・ズケッティ (Lucia Zucchetti)
音楽 :
アレクサンドル・デプラ (Alexandre Desplat)
出演 :
ヘレン・ミレン (Helen Mirren) / エリザベス女王 (The Queen)
マイケル・シーン (Michael Sheen) / トニー・ブレア首相 (Tony Blair)
ジェームズ・クロムウェル (James Cromwell) / フィリップ殿下 (Prince Philip)
シルヴィア・シムズ (Sylvia Syms) / クィーン・マザー 皇太后 (Queen Mother)
アレックス・ジェニングス (Alex Jennings) / チャールズ皇太子 (Prince Charles)
ヘレン・マックロリー (Helen McCrory) / シェリー・ブレア首相夫人 (Cherie Blair)
ロジャー・アラム (Roger Allam) / サー・ロビン・ジャンヴリン (Robin Janvrin)
ティム・マクマラン (Tim McMullan) / スティーヴン・ランポート (Stephen Lamport)

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